相手のプレスをいなし、連続攻撃へ 自信深める“技巧派集団”埼玉平成が初の県4強入り! 

埼玉平成が初の県4強進出! 令和5年度関東高校サッカー大会県予選の準々決勝が22日に行われ、埼玉平成が延長戦の末に花咲徳栄を下し、4大大会で初となる県ベスト4入りを決めた。

埼玉平成は立ち上がり、プレスに来る相手をいなしながらMF大久保夢牙(3年)、MF中島昂大(3年)、MF三木響介(3年)の中盤のトライアングルを起点に組み立て、ペースを握った。

また、「相手を見て、相手の嫌なことをやり続けようというのは日頃から言っている。よく繋ぐと言われるんですけど、相手が繋がれたら嫌だなという時に繋いだり、後ろが空いていたら後ろに入れたり」と三島伸也コーチが言うように常に状況判断しながら、キックが武器のCB清水聖那(3年)や三木の配球から後半は左WG佐藤快琉(2年)が立て続けにチャンスを迎えた。

勝負を行方は80分を越え、延長戦へ。相手の堅守もあり、ゴールこそ生まれていなかった埼玉平成だが、良い攻撃の形は作れており「勝てる自信はあった」(三木)。自信を持ってサドンデスを迎えると、それが結実したのが延長前半1分。左SB三国海(3年)のパスを受けた大久保がエリア左から冷静に突き刺して均衡を破る。さらに7分には佐藤快琉がゴール前のこぼれ球を押し込んで追加点とした。延長後半も集中力を切らさず最後まで攻めきり、2-0で勝利した。

2年生9人がスタメンした花咲徳栄は、高い位置から複数枚でプレスをかけ、1トップのFW西尾優輝(2年)を起点に切り替えの速い攻撃でゴールに迫りたかったが、なかなか決定的なシーンを作るまでには至らず。守備ではCBでキャプテンの大川龍晟(3年)、好反応を見せていたGK絹真那斗(3年)の2人の3年生を中心に粘り強く守り、耐えていたが、延長戦で力尽きた。

埼玉平成は初の県4本入り。流通経済大経由で昨年J1川崎に入団したDF佐々木旭の代もベスト8止まりだった。今大会は1回戦で大宮東に4-0と快勝、2回戦では新人戦準優勝で“格上”の武蔵越生を相手に押し込まれるシーンも多かったが、清水のゴールで1-0と競り勝った。

戦前は初の4強入りに向け、士気は高かったという。三島コーチは「上2枚(昌平、西武台)がいないのであれですけど」とした上で「記録上は初のベスト4。選手たちはそれ(ベスト8の壁)を乗り越えてやるという気持ちは持っていたみたいです。(試合展開的には)こうなるかなと思っていた中で我慢強くみんなやってくれていて、チャンスが増えてくるかなとは思っていたので、よく頑張ったという感じです。こんなに頑張れるんだと」と選手たちのプレーを讃えた。

サッカーの本質である「止めて、蹴る」にフォーカスし、県内の技巧派集団として認知されている埼玉平成だが、一方でトーナメントではなかなか結果を出せず、「勝利に繋がる上手さ」というのは課題だった。それでも今年で浦田尚希監督体制10年目を迎え、「少しずついろんなところが整理されてきたとは話しています」と1回戦の大宮東戦を終えて三島コーチも話していた。

コントロールタワーの三木も「やっぱり上手さは全然通用しているし、抜けているところはあると思う」と自信。その上で「今年は負けず嫌いが集まったかなと」とメンタル的な充実も語る。

ひとつ壁を壊し、さらに上へ。三木は「ここまで来たらもう行くしかない。行けるところまで行って周りを見返す。あまり期待はされていないので、そこを壊したいですね」とし、佐藤快琉は「成徳深谷は力強いイメージ。そこをいなして、平成らしいサッカーで勝ちたい」と力を込めた。プレー、メンタルともに充実の技巧派集団が準決勝も大方の予想を覆し、初の決勝進出を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 0-2 埼玉平成
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)2
0(延後)0