今年も堅守は健在、武蔵越生が埼玉栄を下し4強進出! PK戦ではGK田中然がチームを救う

「令和4年度高校サッカー新人大会・県大会」ラウンド8(12日/昌平高)。武蔵越生と埼玉栄の一戦は100分を越えても決着がつかず。PK戦の末に武蔵越生が勝利し、準決勝進出を決めた。

前半ペースを掴んだのは武蔵越生だ。「前の3人である程度完結する」(井上精二監督)攻撃は今年もテーマのひとつ。1回戦の反省を踏まえてこの日の前半はFW吉田陸斗(2年)、FW石本徠喜(2年)、FW大沢楽(2年)の攻撃ユニットが近い距離感を取りながら、相手ゴールに迫った。

一方、前半はシュート0本に終わった埼玉栄も、後半は壁パスなどを交えながら左SH金井裕世(1年)が切り込んでいくなど、前に出る機会を増やしたことで以降は一進一退の展開となった。

武蔵越生は39分、怪我明けで途中出場の10番MF荻上叶羽(2年)がワンタッチパスを通し、石本が相手DFのタイミングを外して右足を振り抜いたシュートがわずかにゴール左に外れた。

延長戦でも決着が付かず、勝負の行方はPK戦へ。すると迎えた1本目、先攻の埼玉栄のキックを武蔵越生GK田中然(2年)が完全に読み切って左に跳んでストップし、チームに流れを呼ぶ。

さらに注目を集めたのが田中の動きだ。右に左に激しく飛び回ったかと思いきや、今度は独特のダンスのような動きで相手を幻惑した。「あのダンスで相手の視界に俺を入れて、集中をさせないのが狙いだった」。すると4本目も相手を自分の世界に引き込み、今度は右に跳んでストップに成功。逆に武蔵越生は4人全員がキックを成功させ、100分を越える勝負に終止符を打った。

攻撃面では後半は単発なものが増えるなど課題もあった中で、今年も守備力は健在だ。井上監督は「去年から引き続きですけども、やっぱりうちは守備のチーム。ちょっとずつ人に強かったりとか、予測してポジションを取るというところが出てきたというところと、何となくちょっとずつ粘りが出てきた。後ろだけじゃなくて、中盤の選手も含めて、一生懸命ひとりひとりが動いて、頑張ってやらなきゃダメだという話は常々しているので、まだまだですけれども、それがもうちょっと精度を上げていければ、また去年以上のチームができるかなというふうには」と話す。

ここ2年はGK関根拓郎が最後尾に君臨していた中で、絶対的な守護神が抜けた部分での違いはもちろんあるが、「(守備力については)そんなにびっくりするほど変わらないかなとは思っている」と指揮官。セカンドの回収や対人の強さなど守備面で今年のチームのキーマンとなることが期待されるMF佐藤祥太(2年)は「去年から出ている自分がもっと声をかけてチームを引っ張っていかないと勝てないと思っている。そこはずっと意識している」と強い気持ちを示した。

石黒登(取材・文)

試合結果

埼玉栄 0(2PK4)0 武蔵越生
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
2(PK)4