昌平Ⅱは後半盛り返すも悪いイメージ払拭できず敗戦… トップとのW昇格へ「このまま終われない」 敗者復活を勝ち抜き、残り1枠を掴めるか

「高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2022関東 2部リーグ参入戦」が17日に神奈川県内で1回戦を迎え、埼玉県代表の昌平Ⅱは國學院久我山(東京)と対戦し、1-3と敗れた。

立ち上がりの展開がゲームを難しくしてしまった。昌平Ⅱを率いる日野口廉コーチは「後半のサッカーをしたかったんですけど、見えない部分でいろいろと多分選手が中で感じた部分が、前半相手にサッカーをさせちゃったなというのが一番敗因で大きな点。その前半のイメージというのは少なからず、良い流れを持ってきていた後半でも残っていたと思う」と前半の戦いを悔いた。

國學院久我山はインターハイ準優勝の帝京を下し、選手権出場を決めた今参入戦の中でもトップクラスの相手。エースFW塩貝健人(3年)は選手権でも注目選手のひとりに挙げられる。その相手に対し昌平Ⅱは立ち上がり、なかなか良い距離感を持ってプレーすることができず。守備の嵌めどころや攻撃でも狙いを明確にしきれず、相手にやりたいサッカーをやらせてしまった。

この日、ゲーム主将を務めたGK葛西天河(3年)も「チームで入りを良くしようと話はしていたんですけど、それでもやっぱり塩貝選手とか、気持ち的に圧倒された部分もあったのかな」と振り返る。前半11分、塩貝のポストプレーからMF高橋作和(3年)に決められ失点。さらに43分にはクロスの形から要警戒の塩貝にゴールを許し、0-2で試合を折り返すこととなった。

守備で流れを作れない昌平Ⅱは、攻撃でリズムを作るべく後半からMF鈴木宏幸(1年)を投入。ドリブル侵入ができる鈴木をボランチに入れ、前半相手が少なからず嫌がっていた中央からの連動した攻撃からゴールを狙う。押し込んで進めると3分、FW上野旭陽(3年)がエリア右を抉ってクロス。混戦となったところをMF前田大樹(2年)が決めて、追撃の1点を返した。

後半の入りは昌平Ⅱペースで展開。11分にはMF西嶋大翔(2年)が、25分にはMF田口昊輝(2年)が決定機を迎える。しかし、なかなか決めきれずにいると29分、ショートカウンターから塩貝に抜け出しを許し、GKとの1対1を沈められ、反撃ムードを折られた。終盤にはセットプレーからDF甲斐田陽大(3年)がヘディングで狙ったが、枠を捉えることはできなかった。

「相手もスロースタートだった中で、相手の方がここに入れたら、こういうふうな流れでストロングが出る、もちろん個の部分というふうなことで収めたくないですけど、ひとりひとりの個の技術だけじゃなくて、ゲーム持っていく力というか、「俺、ここだったら流れを持ってこられるから俺に預けろよ!」ぐらいの選手が相手には2枚、3枚いた。うちには特に前半はいなかった」

トップレベルではどんな状況においてもストロングを発揮できるような豪胆さも求められる。國學院久我山にはその豪胆さがあった。それでも後半の内容はポジティブなもの。日野口コーチは「プラスに変えられるものはたくさんあったので、そこをちゃんと修正というか、中1日で短いですけど、次はまたタイプの違う相手なので、相手を見て、ちゃんと嫌がるサッカーができればなと思います」とし、「(次は)勝ちます。このまま終われない」と静かに闘志を燃やした。

今年の参入枠は「5」で、初戦勝利した4チームは昇格が決定。昌平Ⅱは八千代(千葉)、帝京第三(山梨)、桐光学園(神奈川)と残り1枠を争うこととなる。まずは19日、八千代と戦う。

葛西は「トップがプレミアに昇格して、監督が目標にしているダブル昇格っていうのを目標にやってきて、そのチャンスがある。選手権前にチームに勢いをつけられるように、残り2試合勝って昇格を決めたいと思います」と気合いを入れた。プレミア、プリンスのダブル昇格を果たし、選手権で日本一を取って歴史に残る最強世代へ――。そのためにも、このままでは終われない。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平Ⅱ 1-3 國學院久我山
0(前半)2
1(後半)1