埼玉高体連初の快挙! 昌平が6年前全国にその名を轟かせた思い出の地でプレミア昇格決定

埼玉高体連から初のプレミアリーグチームが誕生した。「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 プレーオフ」の2回戦が11日に広島広域公園 第一球技場ほかで行われ、プリンス関東覇者の昌平は浜松開誠館(静岡)と対戦。2-0で勝利し、見事来季の参入を決めた。

相手はプリンス東海のチャンピオンで、静岡学園を下し選手権切符をもぎ取ったチーム。「プレスの速さとか球際の感覚というか、密集具合の強さとかは、かなり鍛えられているというか、関東プリンスやっていた中でもこういうチームはないぐらい強かった」と藤島崇之監督も話す。

序盤は相手の「1枚剥がしてもすぐに近距離で2枚目が来る」(監督)コンパクトな守備陣形にハマる場面も見られたが、昌平も切り替えの速い守備で対応。相手の前戦にボールが入った際には常に2枚、3枚で囲い込んだ。流れを引き寄せたのはMF長準喜(2年)のワンプレーだ。

前半27分、ハーフウェイライン付近でボールを受けた長はパスではなく、ドリブルで持ち出すことを選択。「ドリブル侵入することで流れが変わる。中盤で回すことも大切だと思うんですけど、あそこで自分が入っていくことでもっとゴールに近づく」。MF篠田翼(3年)とのパス交換でペナルティーエリア前まで侵入すると、右足を振り抜きチームに貴重な先制点をもたらした。

これで勢いに乗った昌平は、32分に篠田が、42分にはFC東京内定のMF荒井悠汰(3年)が、44分には怪我から復帰し、最終戦でゴールを記録したFW小田晄平(2年)が次々と決定機。相手守護神の決死のセーブもあり、追加点とはならなかったが、ペースを握って試合を折り返す。

後半は相手の3バックの脇をついてチャンスメイク。11分にはHT明けから左SHに移った期待のルーキーMF大谷湊斗(1年)がカットインから右足でゴールに突き刺し、追加点を奪った。

また試合を通して鹿島内定DF津久井佳祐(3年)主将とDF石川穂高(2年)のCBコンビが存在感を発揮。指揮官は「津久井と石川の2枚が最後のところのキワの勝負とかはちゃんとできていたので、そこがやっぱり優位性が働いた部分なのかなと思います」と評価。津久井は「分析で17が身体が強いというのはわかっていたので、前半からバチバチ行きました。ほぼ何もやられなかったと思うので今日は俺と穂高の勝ちかなと」と被シュート3本に抑えた守備を誇った。

「この1年間、プレミアに上がるためにプリンスを戦ってきたので、しっかり上がれて良かったです」と津久井主将。限られたチームしか出場を許されないトップリーグへの挑戦権。昌平も2度目のプリンス参入には数年を要した過去がある。津久井は「監督からその話は聞いていたので、「じゃあもうこの自分たちの代で」というふうな想いはみんな持っていたと思います」と明かす。試合前には「プレミアに上がれなかったら、この1年間は無駄になる。しっかり勝って、笑って帰ろう!」と声かけをしていた中でしっかりと勝ちきり、後輩たちに最高の置き土産を残した。

埼玉の高体連としては初めてのプレミア昇格。藤島監督は「埼玉県のレベルアップというところもひとつ我々も考えながらやりたいと思いますし、埼玉県全体の活性化のプラスに働けるようにしっかり戦っていくことが、今後自分たちにも還元される部分になっていくと思う」と話した。

ちなみに余談だが、舞台となった広島広域公園 第一球技場は6年前のインターハイで初出場ながら優勝候補だった東福岡を破り、昌平という名前が初めて全国区に轟かせた思い出の場所。この試合で直接CKから決勝弾を決めたMF針谷岳晃(北九州)、MF松本泰志(広島)は同校として初のJリーガーとなった。そこからの躍進はすさまじく、今年も荒井、津久井がプロ入りを果たすなどこれまで16人のJリーガーを輩出。その思い出の地でまたひとつ、偉業を刻んだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 2-0 浜松開誠館
1(前半)0
1(後半)0