昌平がプリンス関東1部を制覇! 課題も「伸び代」に昇華し、埼玉高体連初のプレミア昇格へ
プレミアリーグ昇格へ――。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関東1部は4日に最終節を行い、昌平はホームで流通経済大柏Bと対戦。先制を許したものの、前半のうちに逆転に成功し、そのまま2-1で勝利。勝ち点を「41」まで伸ばし、関東1部優勝を決めた。
前半5分、混戦を相手MFに決められて失点。リーグ戦では中断明け後、浦和レッズユース戦、鹿島アントラーズユース戦と連続して先制点を与えていただけに注意していたところだったが、この日も先行を許す展開に。主将の鹿島内定DF津久井佳祐(3年)は「ゴールに全員が向かっていなかったっていうところで、安パイに入りすぎた」と、消極的だった立ち上がりを悔しがる。
それでもここでズルズルと行かないのが今季の昌平。MF篠田翼(3年)が持ち味の推進力のあるドリブルでグングンと運び、9分にはFW小田晄平(2年)のシュートがクロスバーを直撃。FC東京内定の10番MF荒井悠汰(3年)がカットインから惜しいシュートを放っていった。
27分には右SBとしてスタメンした佐藤海空斗(3年)が負傷離脱するアクシデントもあったが、この試合の前に行われたS1リーグ最終節にもフル出場したDF甲斐田陽大(2年)がしっかりと穴埋め。29分にMF土谷飛雅(2年)、31分にはMF長準喜(2年)がゴールに迫った。
徐々に相手にダメージを与えていくと41分、ペナルティーエリア内に侵入した土谷の仕掛けの姿勢が相手のファールを飛び、PKを獲得。これを荒井が決めて同点に追いつくことに成功する。
さらにその2分後には追加点。土谷の正確無比なキックに抜け出した小田がキーパーの動きをしっかりと見つつ、冷静に流し込んだ。年代別代表にも名を連ねるFWだが、今年は怪我も重なり、プリンスリーグも「4試合分」の出場にとどまった。8月に負った怪我の影響で選手権予選にも出られず。前週のS1リーグの大一番、正智深谷戦で後半途中出場したのが復帰戦だった。「スタメンが発表されて、今日は自分が点を取るという気持ちはあったので良かった」と喜んだ。
これが決勝点となり、昌平が2-1で逆転勝ち。2位帝京も勝ったものの、しっかりと勝利で締めくくり優勝を決めた。今季は18試合を戦い、12勝5分1敗。退場者を出し10人で戦った前期の東京ヴェルディユース戦で敗れたが、後期は前述のように先行される展開も多かった中で鹿島戦では終了間際に同点に追いつくなど、しっかりと勝ち点を重ねたことが戴冠に繋がった。
この試合の前にはセカンドチームの昌平ⅡがS1リーグを制覇。津久井は「本当に嬉しいですし、やっぱり一緒に練習しているので、一緒に優勝を分かち合いたかったですけど、優勝して帰ってきて、本当におめでとうみたいな感じで自分たちもやんなきゃなって」と刺激をもらったようだ。
一方で見えた課題もあった。立ち上がりの部分はもちろん、土谷は「今日のゲームは失う回数が特に多かったのがボランチだった。自分たちが取られたら、最終ラインの前なのでカウンターになってしまうところが2、3回あった。次の参入戦ではそういうところも全部なくしていきたい」。また、決めきれるところで、決めきれなかったことも修正ポイントに挙げた。
藤島崇之監督は「良かったり、ちょっと課題が残ったりとかっていう状況の中で、うまくいかないことが知れて、それをちゃんと伸び代にできればいい。勝って兜の緒を締めよ、じゃないですけど、逆にそこでもっとやろう、もっとやらなければいけないという、良い意味での欲が出てきてくれれば、そこはそこでプラスに働くと思うので、そこをちゃんとプラスに変えられるように、ちゃんと準備していければいいかなと思います」と語った。
これをそれぞれが良い薬に変えて、いざプレミアリーグプレーオフへ。津久井は「やっぱり自分たちの代でプレミアでやってみたかったっていうのがあるんですけど」と話しつつ、「どこと当たってもしっかり勝って、プレミアに上げて、来年を苦しめたい」。そして「インターハイはベスト4で終わっちゃったので、プレミアに上げて、日本一になって、自分たちの代が1番って言わせたいですね」と抱負を話した。埼玉高体連として初のプレミア昇格を果たし、選手権に臨む。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 2-1 流通経済大柏B
2(前半)1
0(後半)0