テンポ良く繋ぎ、前半で7発!「パスの質」示した埼玉栄が2戦連続の8ゴールで16強入り
第101回全国高校サッカー選手権県予選・2回戦(15日)。埼玉栄と上尾南の一戦は、埼玉栄が8-2で勝利した。埼玉栄は22日の3回戦でプリンスリーグ関東1部所属の西武台と対戦する。
今季主戦場とするS2Bリーグでは14試合を終えて51得点(リーグ1位/1試合平均3.6点)。アタック力に定評を持つ埼玉栄が初戦に続く、2戦連続の8ゴールでベスト16進出を決めた。
「前半はテンポも良かった」と滝井友和監督。初戦の川越東戦は快勝だったものの、ビルドアップやポゼッションに課題を残していた。この1週間はその部分をみっちりと確認。テンポよく組み立て、FW安倍颯汰(3年)やMF小磯慧秦(2年)が前から嵌めこんで、連続攻撃に繋げた。
前半17分、小磯のスーパーミドルで先制すると、22分にMF沖中愛斗(3年)、27、29分には鋭いカットインを見せていた左SHの樋口有斗(3年)が連続ゴール。30分にはMF荒井大和(3年)のクロスからMF石束朋大(3年)が決めて、先制点から13分間で一挙5得点を奪う。
その後、1点を返されたが、39分に左CKからDF目黒崇人(3年)がヘディングを叩き込み、40分には小磯がこの日2点目となる強烈なミドルシュートを突き刺して7-1で折り返した。
後半は「一個要求を高くした」。もうひとつ奥を見てのプレーなどを求めた中で「選手の中で考えてやってくれているからこそ、うまくいっていないところはある」とややスローダウン部分はあったものの、途中出場のMF原虎太郎(3年)が追加点を挙げて2戦連続の8発で勝利した。
埼玉栄は今春から系列の埼玉栄中で15年にわたり指導し、昨年は新人戦でタイトルを獲得した滝井監督が高校の監督に。同監督は「コンパクト」「スピーディー」「モビリティ」に「インテンシティ」を加えたサッカーを掲げてスタート。特に前半は指揮官が目指すサッカーが色濃く表れた。
最も変わったのは「パスの質」の部分。「強さやパススピードに関しては間違いなく上がっている。でも逆にそれを動きながらコントロールできるとか、タイミングよくボールを受けられるとかというところは、まだまだやっぱり課題」。4月から積み上げてきた中でまだ、指揮官の思い描くベースまでには届いていないというものの、前半については「よくやっていた」と評価する。
「格上とやれる」という自信もある。関東予選では2回戦で武南に、総体予選では3回戦で成徳深谷に敗れているが、どちらも「ボールは支配できたゲームだった」。「この夏も全国の強いところとやっても、負けないゲームができている。そういうゲームが一発勝負のところでやれるか」。
そういった意味では、2年連続の同ラウンドでの対決となる次戦の西武台戦はひとつ指標となる。プリンス関東1部所属の昨年度チャンピオンを下し、上で戦える力があることを証明する。
一方、越谷西を選手権8強に導いた実績を持つ古平智彦監督体制となり6年目、今年は創部以来初だった2020年以来となる2次トーナメントに進んだ上尾南も最後まで諦めずに戦い抜いた。
今大会は1回戦で豊岡を下し、2次予選初勝利を挙げた。埼玉栄戦は序盤から攻め込まれる中で前半34分、クロスのこぼれ球を10番MF齋藤柊斗(3年)がゲット。その後も点差は開いた中でも果敢にボールを追い、21分にはハンドで得たPKをFW名古屋龍晶(3年)が流し込んだ。後半だけで見れば県2部リーグでも上位を戦う相手に対し、1-1というゲームを展開した。
石黒登(取材・文)
試合結果
埼玉栄 8-2 上尾南
7(前半)1
1(後半)1