「どう相手の持ち味を消すか」西武文理がリーグ最少失点の堅守を発揮 大宮南を零封し16強入り!

第101回全国高校サッカー選手権県予選の2回戦が15日に行われ、S2A同士となった西武文理と大宮南の一戦は、1-0で西武文理が競り勝った。西武文理は3回戦で成徳深谷と対戦する。

リーグ最少失点を誇る守備の粘り強さが光った。西武文理・山口豊監督は「どうやって大宮南の持ち味を消すか。ボールを握って、動かす部分はすごく秀でている、良いチームだと思うので、いかにそれをさせないか。子供たちが集中を切らさないでできたのが一番大きい」と振り返った。

「ボールを握ったら、それがイコール勝ち負けじゃない」「どこで奪いに行くか、どこはやらせちゃいけないのか」

ボールを握られることは織り込み済み。西武文理は大宮南のストロングであるFW鈴木優人(3年)、トップ下の秋山智也(3年)に入るボールを徹底的にケア。ゾーンで守りつつ、声を掛け合いながらうまくマーカーを受け渡し、最後の部分では主将のDF川上拓真(3年)、DF幸喜琉依(3年)、DF北村琥次郎(3年)が身体を張って相手の要注意選手に自由は与えなかった。

なかなか攻撃に出ることはできなかったが、しっかり守り好機を待つとスコアが動いたのは後半20分。敵陣左中間からのFKのこぼれ球を北村が頭で折り返し、10番FW丹下優(3年)がヘディングで流し込んで先制。終盤も相手の猛攻に遭ったが、この1点を守り切り勝利を収めた。

一方、大宮南は相手の4倍以上の9本のシュートを放ちながらもゴールが遠かった。1回戦の久喜北陽戦でハットトリックを決めていた鈴木は、警戒を受けながらも前半はそこを掻い潜りゴールに迫る場面もあっただけに「ああいうシュートをやっぱり決めなきゃいけない」(田中龍太郎監督)。終盤には途中出場のFW関根悠太(3年)が決定機を迎えたが、決めきれなかった。

「どこで奪いに行くかというところと、どこはやらせちゃいけないのか、どこの部分は消そうというところで、今日だったら10番(鈴木)と8番(秋山)のところはもう自由にさせないというところは、一番子供たちに話して、そこは徹底した部分だった。そこのところでは中で声を掛け合いながら自由にさせなかったというのが、 今日の勝因じゃないかなと思います」(山口監督)

西武文理は今季、関東、総体予選はいずれも1回戦敗退だったが、主戦場とするS2A(県2部)リーグでは14試合を消化して失点10は最少。この夏は「とにかくまず失点しないというところと、カウンター、セットプレー、これが持ち味だと思うので、そのストロングポイントをしっかり磨こうということでやってきた。県外のチームとやっても手応えはあった」と指揮官はいう。

後期は守備に磨きがかかり、5試合で失点はわずか「1」。「ディフェンス力というか、粘り強くやるというのは自信があった。ロースコアのゲームになればうちはいいのかなと。点をあまり取られない自信はあったので、勝つなら1-0かなと思っていた」。相手がケアしてきたこともあり、カウンターがあまり取れなかったのは課題だが、鉄壁の守備というところで持ち味を見せた。

ベスト8をかけた3回戦の相手は、関東予選準優勝で第2シードの成徳深谷。昨年は2回戦で戦い、好ゲームを繰り広げた末に0-1の僅差で敗れた。指揮官はやはり守備をポイントに挙げる。

「死闘になるようにしないとダメかなと。接戦にしないと勝機はないかなと思うので、どれだけ粘り強く、我慢できるか」。相手の力強いアタックを粘り強く耐え、セットプレーやカウンターから少ない好機をものにする―。「死闘」を制して、2019年以来3大会ぶりの8強入りを狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

大宮南 0-1 西武文理
0(前半)0
0(後半)1