昌平は「けじめ」つける3位フィニッシュ 「育成の先の強化」信念ぶらさず、さらなる成長を持って来季の覇権奪取へ

令和4年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会・3位決定戦が25日に行われ、昌平と川口市立が対戦。川口市立が先制したものの、後半2ゴールの昌平が逆転で3位フィニッシュを飾った。

川口市立は自陣にブロックを作り、最後の部分では廣井李紅(3年)主将、石丸知愛(1年)のCBコンビが身体を張って守る。するとこの試合の1本目のチャンスを得点に繋げた。前半21分、右CKをGKが捕球しきれず、こぼれ球を10番のMF林このか(3年)が流し込んだ。

一方、昌平は序盤からMF佐藤李那(1年)やMF荒牧莉子(1年)が多くボールに絡み、そして1トップのFW金澤道(1年)がドリブル突破でエリア内に何度も入り込んだ。33分には金澤の仕掛けがファールを誘いPKを獲得。しかし、金澤が自ら蹴ったPKは川口市立GK岩峅優(2年)が反応。こぼれ球にMF水本菜々(2年)が詰めたが、ここも岩峅が立ち塞がった。

それでも昌平は後半3分、混戦を佐藤が決めて同点。その後、互いに決定機を作る中で勝負を決める1点が生まれたのは39分。途中出場のMF桐原日和(2年)のパスをエリア左で収めた金澤が鋭いターンから最後の1枚も独力で外してゴール右隅に突き刺し、これが決勝弾となった。

2大会連続の3位も課題も残る内容に。芳賀大祐監督は「打ち合って、スペースがあればもっとできるんでしょうけど、このスタイルで行くとなると、どうしても味方も敵も集まるし、当然こういった形で10人で引かれる。最後破るところ、ここを今週1週間も正直かなりサッカー的に徹底して、そういう練習は積んできた中で、正直まだ行ききれなかった部分はあります」と話す。

今大会はけが人の多さにも泣いた。大会直前に佐藤ら主力選手2人が負傷(佐藤は準々決勝から復帰)。さらに3回戦の前にはCBの津久井小夏(1年)が骨折。MF新垣杏奈(2年)もコンディション不良やさまざまな事情もあり、パフォーマンスを出し切れたとは言いがたい。そして極めつけは3位決定戦の2日前に10番でチームの中心を担うMF風間星(2年)が骨折でアウト。

そういった中で攻めあぐね、逆にカウンターからファーストシュートを決められるという“セオリー”にはまりかけたが、「ただその中で2発後半取れたのはでかかったと思います」と振り返る。

「最後やっぱりお前らがこの1年間、自分たちでやってきた今日は総決算だぞと。関東大会もあるし、県リーグもあるけど、この選手権のためだけに、いろいろな時間を全部削って、ここに情熱を注いできたから、その想いを自分なりに表現しろと、自分なりにけじめをつけなさいと」。

怪我で出場の可能性のないメンバーにもユニフォームを渡し、22名全員がベンチに入り、それぞれが与えられた場所で「けじめ」をつけたゲーム。その中で「逆転勝ちできたというのは1年籍積み上げてきたものが、サッカーの神様がひとつ、こういう形で答えを出してくれたんだと思って、次に進んでいけるゲームにはなったのかなという感じはしています」と指揮官は語った。

芳賀監督体制も2期目を迎えたが、「選手一人一人を育てる。勝つために選手を戦術にはめ込むんじゃなくて、選手を育てる育成の先に強化がある」という信念は変わらず、今大会を通して改めてそれを貫いていくということの大切さを感じたという。この日にしても外からヒントを与えることはできたが、あえてHTやクーリングブレイク時は話さず選手たちでの解決を求めた。

「もう一回学校生活含めて、まずは埼玉県チャンピオンにふさわしい選手になれるように、周りから「昌平だったら埼玉県を代表していっても、全国でやってくれるだろう」といってもらえるような、チーム、選手作りにしていけば、必然的に結果は出てくる。そこを貫いていきたい」。

初出場となる秋季大会に向けては、「出る大会ではなく、勝ちあがらせてもらって、“出させてもらう大会”なので、やっぱり「なんだ、埼玉県」とは絶対に言わせたくない。30以上ある中から勝ち上がったチームの代表なんだという試合には絶対にしたいと思っている。それは埼玉県の方々にも絶対に結果を持って恩返ししたいと思っているので、これはもう絶対に優勝を目指します」。昨年は本庄第一が優勝を飾っている大会で、『埼玉県勢2連覇』は譲れないと話す。

そして「もうひとつはチームとしても、一回リセットをして、リニューアルした形で進んでいきたいと思っているので、今回の大会を経て、どれだけ個が躍動するか。けが人も多い中で台所事情は苦しいんですけど、だからこそもう一回、うちのユニフォームに袖を通すにふさわしい選手がひとりでも多く出てくるような、そういう選手が育つ場にしたい。考え方は変えずに育成の先の強化、今回は結果にはフォーカスしたい。そこは覚悟を持ってやります」と意気込みを語った。

一方、敗れた川口市立も、エースFW飴谷万葉(3年)を中心に、実に7年ぶり(当時は川口総合)となる4強入りを果たし、関東秋季大会出場を決めた。昨年9月には人工芝のグラウンドも完成。MFエドワード怜菜(2年)やミニ国体にも出場したMF小磯遥香(1年)など、下級生にも有力選手が多く、来年以降も楽しみなチームだ。久々の関東の舞台でも躍進を期待したい。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口市立 1-2 昌平
1(前半)0
0(後半)2