昌平FW小見洋太が最警戒を受けながらも結果を残して「わかっていても止められない選手に」。今予選は昨年越えの8ゴール以上を狙う

「わかっていても止められない選手になる!」―。昌平の新潟内定FW小見洋太は初戦から最警戒を受けながらも1ゴール、1アシストと結果。チームの逆転勝利に大きく貢献してみせた。

この日は完全にゴール前のスペースを消し、さらにマンマークをつけるなど『小見シフト』を敷いてきた浦和南。小見も「常に1対1みたいな感じでフリーになることはほとんどなかった」と振り返る。それでも勝負を楽しみながら、クオリティーを見せていくと一瞬を見逃さなかった。

前半アディショナルタイム、DF田島魁斗からクロスが入ると「ニアに入るふりをして外側から回った」。巧みなプルアウェイでディフェンス2枚をおびき出してフリーの状態で抜け出すと、最後は飛び出してくるキーパーの動きをしっかりと見極めてダイレクトのループで決めた。

実はこれは選手権直前に行われたプリンスリーグ関東・前橋育英戦(3-2〇)でも見せたプレー。「育英戦の時もまったく同じで(笑)。結構得意な形にはなってきている。これからもどんどんあの形でもそうですし、もっともっと得点を取れるバリエーションというのは増やしながらやっていきたいと思っています」。合同入団記者会見で語った「日本一のストライカー」となるために―。「まだまだ決定力は足りない」と話すが、新たな得点パターンの獲得やゴール前での落ち着きも身につけながら、昌平のエースストライカーはここに来てさらに成長中だ。

2点目はMF篠田大輝に譲ったが、田島のクロスに再び一瞬の駆け引きでディフェンスを剥がした動きで勝負を決めた。この日は警戒を掻い潜り1ゴール、1アシストと結果。昨年は勝った中でも「個人的には何もできなかった」と振り返る難敵・浦和南戦で成長した姿を見せた。

藤島崇之監督も「本当に相手の守備は固かったですけど、それをこじ開けたのは小見の常に狙う意識。ほかのプレーの貢献度もすごく高かったですし、(同点弾も含めて)この状況を引っ張ってきたのは小見かなと思います」と逆転勝利を手繰り寄せたエースFWに賛辞を送った。

これから先もJ内定の要注意FWとして各校における『小見包囲網』はさらに強度を高めていきそうだが、小見としてもそれは臨むところ。「やっぱり「わかっていても止められない」選手にならないといけない。そのために得意な裏抜けもそうですし、背負うプレーの質も上がってきていると思う。本当に「止められない選手」を目指してやっていきたいと思っています」。

「今回の目標はやっぱり日本一。個人としても全国で得点王を狙っていきたいと思っています」というFWは「去年(の県予選)は7点だったので、去年の自分を超えるという意味でも予選では8点以上取りたい」と意気込み。昨年は1回戦からの登場だった中で今予選は3回戦からと2試合少ないが、その中でも目標とする「日本一のストライカー」となるために、まずは「高校No.1ストライカー」を目指す小見洋太は「昨年越え」という課題を自分に課した。

石黒登(取材・文)