花咲徳栄が死闘を制し大会連覇! 4年ぶりの全国目指す関東大会へ、課題に向き合い成長を誓う
死闘を制して、大会連覇――。令和4年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会・決勝が25日に行われ、前年女王の花咲徳栄と総体予選覇者の本庄第一が対戦。試合は互いに譲らず、スコアレスのまま延長、PK戦を迎える中で3-2と制した花咲徳栄が2年連続5度目の優勝を飾った。
花咲徳栄・末貴光監督は「本当に苦しんだ試合だった。(今大会は)初戦から本当に苦しんで、先週(vs昌平3-1○)も我慢強くよくやってくれたなと、この決勝に関しても本当によく戦ってくれたなと思います」と振り返ったように、ファイナルも決して簡単なものにはならなかった。
前半ペースを握ったのは本庄第一だった。鍵と見られた中盤の主導権争いでセカンドボールをしっかりと自分たちのものにして前へ。そこから4戦8発のエースMF眞島紗衣(3年)のカットインやMF小池樹里(1年)の裏への抜け出し、FW常見梨乃(2年)のポストプレーから丹治希ノ花(3年)、松野尾沙斗(3年)のダブルボランチも積極的にゴール前に迫っていった。
花咲徳栄は競り合い後の部分で寄せが甘くなり、セカンドボールの下に潜り込まれて拾われるようなケースが多かった。奪っても相手の出足の速さで繋ぎのパスをカットされる場面も多く、中盤以降は攻め急ぐようなシーンも。それでも試合が崩れなかったのは守備陣の功績が大きい。
「前回の大会でやられたのがディフェンスラインからボランチにかけてだった。やっぱりそこに対する想いは強くあって、絶対にここは無失点で抑えようと言っていた」。ディフェンスリーダーの大矢静佳(3年)が冷静な読みで裏へのボールをカバーすれば、CBでコンビを組む橋本琴音(2年)も1対1の強さを発揮。また、右SBの正木佑奈(2年)、左SBの宍戸楓花(1年)も相手のクロスやシュートに対して必死で足を出し身体を投げ出すなど、守備面で貢献した。
スコアレスで試合を折り返すと、競り合いやセカンドについて共有したという後半は徐々に花咲徳栄が押し返すように。HT明けに投入された10番のMF手嶋友那(3年)が右サイドから形を作り、MF島田果林(3年)がフィニッシュに絡む。終盤はさらにゴールへの圧力を高めた。
一方、本庄第一も総体予選で無失点Vを支えた越もえ香(3年)、濱田梨沙(3年)、石島美咲(3年)、野﨑梨央(3年)のバックラインを中心に身体を張って跳ね返し続け、後半を終えた。
花咲徳栄は延長後半5分、中盤でのボールカットから手嶋がドリブルで前進し、左足で狙う場面もあったが惜しくも枠を捉えることができず。試合はスコアレスのままPK戦にもつれ込んだ。
PK戦では長谷川実乃里(1年/花咲徳栄)、福田莉々(3年/本庄第一)と両GKが1本ずつ止めた中、3-2で勝利した花咲徳栄が総体予選決勝のリベンジを果たし、2連覇を果たした。
冒頭の言葉の通り、花咲徳栄にとって今大会は本当に苦しんだ大会でもあった。初戦となった2回戦は1-0発進。3回戦こそ大勝したが、準々決勝は県リーグ1位の南稜にPK戦の末に薄氷の勝利だった。準決勝は総体予選3位の昌平と対戦し、前半に先制点を許したものの「伝統」の3年生たちの頑張りもあり逆転勝ち。そして決勝は本庄第一とのリベンジマッチ。最後はボスラッシュというような展開の中で、末監督は「一戦ごとに少しずつ成長できたのかなと」話す。
連覇で県大会は幕を閉じたが、「もう1回強化ポイントを絞っていかないといけない」と指揮官が話すように関東大会の前にまだまだやらなければならないことがある。立ち上がりの遅さは大会を通して課題に、奪ってからの攻撃の構築というのも取り組まなくてはならないテーマだ。
そしてそれは一番選手たちがわかっている。ダブルキャプテンのひとりで攻のリーダーである手嶋は「ピッチ内外でチームとしてまだ課題がある。リベンジという形で優勝できたことはもちろん嬉しいんですけど、優勝という結果に満足せず、しっかり反省するところは反省して、次に生かさないといけない。チームとして、個人として完成度を上げて関東大会に臨みたい」と話す。
もうひとりのキャプテン、大矢も「チームの課題をしっかり客観的に見て、関東大会までの短い間にチームとして成長する」ことを掲げる。そのうえで「去年の関東大会の悔しい結果を超えられるように、チームの最終目標である日本一を達成できるように、レベルアップの舞台として勝ち進んでいかなきゃいけない」と力を込めた。まずは2019、2021年と敗れている関東1回戦の壁を突破すること。そして8強入りした2018年以来4年ぶりとなる全国大会出場を目指す。
石黒登(取材・文)
試合結果
本庄第一 0(2PK3)0 花咲徳栄
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
2(PK)3