大会連覇狙う花咲徳栄が激戦を制し4強入り! 南稜は最後まで食らいつくもPK戦で涙
令和4年度高校女子サッカー選手権大会・準々決勝(11日)。激戦となった花咲徳栄と南稜の一戦は、PK戦の末に花咲徳栄が4強進出を決めた。花咲徳栄は19日の準決勝で昌平と激突する。
連覇を狙う花咲徳栄と昨年総体V南稜。屈指の好カードとなった一戦は、やはり激戦となった。
まず仕掛けたのは南稜だ。立ち上がりからきっちりとボールホルダーに寄せていくと、奪ったボールを攻撃のキーマンMF小澤楓咲(2年)を中心に、パスコースを見つけながらひとつ繋いでチャンスを窺う。前半16分には縦パスからMF榎本莉里(1年)が抜け出したが、ここは花咲徳栄GK長谷川実乃里(1年)が思い切った飛び出しから冷静に1対1を制し、難を逃れた。
花咲徳栄・末貴光監督は前半の苦戦を認め、「もう少し落ち着いて入ってくるかと思った中で前半から南稜さんがトップギアで来たのは完全に私の読み違いだった」と振り返る。その中でまずは相手の攻勢を耐えながら練習してきたセットプレーでゴールに迫るという狙いもあったが、前半に記録したCKはわずかに1本となかなか思うように攻撃の形を作ることが出来なかった。
後半は相手の守備ラインにプレッシャーをかけつつ前へ。12分にはセットプレーのこぼれ球をMF森田琉佳(2年)が狙ったほか、攻撃的右SBの正木佑奈(2年)も果敢な仕掛けを見せた。
しかし「個のプレーに頼りすぎていて、グループで何かをすることはあまり出来なかった。長いボールが多くなって、孤立てしまい、チャレンジ&カバーで守られてしまったというのが正直なところ」と指揮官が話したように、単騎の仕掛けが多く、決定的なシーンの創出には至らない。
南稜は20分、FW大場永遠(3年)が抜け出したが、ここも花咲徳栄の1年生守護神・長谷川が抜群の飛び出しを見せてセーブ。スコアレスのまま70分を超え、試合はPK戦に突入した。
迎えたPK戦では両軍GKが攻守を連発。先に長谷川が2本目を止めれば、南稜GK小林保湖(2年)も3本目、そして決まれば終わりという緊張感のかかる5本目をセーブしてサドンデスにもつれ込む。勝負がついたのは8本目だ。花咲徳栄は相手の先行のキッカーをストップすると、MF井上らら(1年)が沈めて決着。難しい一戦を制し、大会連覇に向けてまた一歩前進した。
今大会は3回戦こそ快勝しているものの、初戦となった2回戦の川越南戦は1-0、そしてこの試合はすコアレスからのPK勝ちと苦しみながらも歩を進める。末監督は「本当に厳しい戦いになっているので、(この試合が)何かひとつ冷静に考えなきゃいけないヒントになれば」と話す。
その中で指揮官が奮起を期待するのが3年生たち。「PK戦は上級生もしっかり蹴ったんですけど、最終的には下級生に助けられたかなというのもあって、これはあと残りは3年生が頑張れというサインなのかもしれないなと。ここに来て1年生が多く出ていることも悔しいと思うし、控えの3年生の気持ちも考えれば、ここは上級生がやってくれると思っています」と期待をかける。
昨年も下級生が半数を占める中、最後に勝負を決めたのは3年生たちだった。今大会、10番を背負って臨むMF手嶋友那は「去年はすごく先輩たちに助けられた。自分がその立場になったので、しっかりとプレーで1、2年生を引っ張れるように」と準決勝に向け意気込みを語った。
一方、南稜も新しいスタイルに可能性を感じさせた。小椋大監督体制となった今年はポゼッションスタイルに挑戦。実際に相手をいなしながらサイドから攻め込む場面もあった。しかし、シュートは後半の1本とフィニッシュ前に課題も。「チャンスの一歩手前まできたので、それをどうビッグチャンスにするか」(監督)。細部にこだわり、来年度再びNo.1取りにチャレンジする。
石黒登(取材・文)
試合結果
南稜 0(4PK5)0 花咲徳栄
0(前半)0
0(後半)0
4(PK)5