大宮U12が“さいたまダービー”を制し戴冠 相手の時間もうまくコントロールし、宿敵を下す
「第46回関東U-12サッカー大会埼玉県大会」決勝が6月26日、埼玉スタジアム第2グラウンドで行われ、大宮アルディージャU12と浦和レッドダイヤモンズジュニアが対戦。4-2で勝利した大宮が優勝した。大宮、浦和に加え、3位になったレジスタFCは8月に山梨県で開幕する「2022フジパンCUP第46回関東U-12サッカー大会」に、埼玉県代表として出場する。
立ち上がりから一進一退の攻防となった中で大宮はハイサイドを取って攻撃を展開する。すると前半10分、岩﨑健人(5年)が展開し、左サイドの瀬倉我玖(6年)がグラウンダーでクロスを送る。これを収めた10番の藤田湊介(6年)が高速ターンから右足で流し込んで先制した。さらに大宮は17分、相手のバックラインの連携ミスからオウンゴールで加点し2-0とした。
一方、浦和も前半AT、片山蒼太郎(5年)のクロスに松下蒼空(5年)が決めて1点差として折り返し。後半は福田誠人(6年)を投入して前線の枚数を増やし、一気にペースアップする。
それでも大宮は「前半1点を返されて、レッズはやっぱりこういうところで盛り上げてパワーアップしてくるチーム。そこに対してうちが忙しく慌ててしまうと相手の思う壺になってしまう。攻撃は少しスローダウンして、相手のペースに乗らないように、自分たちでやりたいことをやってみようと話はしていた」と伊東真吾監督がいうように、「絶対に勝ってやる」と強い気持ちで臨んだ宮内琥太郎(6年)主将を中心に、相手の時間帯にもうまくゲームをコントロールする。
そして後半8分、大宮はボール回収から西田翔愛(6年)がドリブルで運び出しスルーパスに抜け出た見山煌芽(6年)が前に出るキーパーを冷静に見てループシュートで沈めて3-1とした。
追いかける浦和は後半16分、野口蒼太(6年)を起点に連続して速いパスを繋ぎ、最後は福田がキーパーを交わしてゴールに流し込んで再び1点差としたが、大宮は後半ATに中村善(5年)の右足の長距離砲が決まって4-2とし、直後に笛。U-12版“さいたまダービー”を制した。
「子供たちにはもう自分たちで掴み取った決勝戦なので、思い切り楽しんでおいでということで、子供たちはその中で生き生きとやってくれた。浦和レッズさんとは練習試合もよくやってもらうんですけど、手の届かない相手だったので、そこに追いつきたいというところで選手は日々頑張ってきていたので、今日はそういう熱いものはあったんじゃないかと思います」(監督)
現メンバーにとって、浦和は練習試合も含め、これまでなかなか超えられなかった壁でもあった。今年初めの新人戦では南部地区2回戦で対戦。先制したが、後半に追いつかれPK戦で敗れた。
主将の宮内は「いままで浦和レッズとは何回か戦ったことがあったけど、全部負けていて、その『レッズに勝ちたい』という強い想いが、試合の中でも出せていたからこそ勝てた」と振り返る。
今年4月からはクラブOBの伊東真吾監督が就任。指揮官は「基本的にはインテンシティ高く、ゲームと同じ躍動感、守備の強度とか、そういった部分をベースにしてやっていく。あとはボールポゼッションとか、動かすということも大事ですけど、個人でやっぱり優位性を作れるというか、困った時に失わないでキープ出来たり、前を向けている時は1枚剥がして優位性を作っていけるだとか、その個で打開出来る力というのもこの4種のうちに身につけさせたい」と話す。
まだまだ個人で力強く行ける選手は多くはないというものの、「キック技術やターン技術は高い」という10番の藤田や5年生ながら中央で落ち着いたプレーを見せていた岩﨑、またキーパーでは準決勝、決勝と安定したセーブを見せていた新村和史(6年)などは随所で力を発揮していた。
昨年は12月開催だった本大会で優勝。藤田は「これからみんなでまた意識を高め合って、みんなで一致団結して羽ばたいて優勝したいです」、宮内は「2連覇を狙う」と意気込みを語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
大宮アルディージャU12 4-2 浦和レッドダイヤモンズジュニア
2(前半)1
2(後半)1