新生・埼玉栄が軽やかな逆転劇! 「コンパクト」「スピーディ」「モビリティ」、新監督のもと世界基準を取り込み復権を目指す
関東大会予選が16日に県内各地で開幕。新監督を迎えた埼玉栄は9-1で本庄第一を破った。
新生・埼玉栄が軽やかな逆転劇で初戦を飾った。試合は開始20秒のMF小倉颯太(3年)の得点で本庄第一が先行する形となったが、埼玉栄は速いショートパスを連続して繋ぎながら崩しにかかると、前半15分にゴール前の混戦をMF原虎太郎(3年)が決めて同点に。さらにその5分後には崩しの中でFKを獲得。これをMF荒井大和(3年)が直接突き刺して逆転した。
その後も前半27分にはMF沖中愛斗(3年)、32分には荒井がこの日2ゴール目をマーク。またATには前半は左SBとして出場し、再三にわたってクロスなどでチャンスメイクしたFW樋口有斗(3年)主将の左CKからDF目黒嵩人(3年)がヘディングで沈めて5-1で折り返す。
後半からは昨年度、埼玉栄中で新人戦Vを果たした期待の1年生MF加藤佳大らがピッチへ。12分にはその加藤のクロスから10番FW安倍颯汰(3年)がゴールを奪う。そして17分にはこちらも途中出場で昨季CBにコンバートされたDF小磯慧秦(2年)が中盤でボールをカットしてスルスルと上がっていき、元FWらしく右足でゴール右隅に突き刺してリードを広げた。
終盤は樋口が前線に。後半36分、クロスを樋口が競り、裏に抜け出したMF乙川龍之介(3年)がゲット。37分には樋口のアシストからMF山内健弘(3年)が決めて9-1としゴールショーを締めた。出会い頭の一発はあったものの、その後は埼玉栄が終始支配したゲームとなった。
埼玉栄はこの4月から新体制に。稲垣忠司前監督がGMという立場となり、新たに系列中学の埼玉栄中で15年にわたり指導し、昨年は新人戦でタイトルを獲得した滝井友和監督を招聘した。
同監督が掲げるのは「コンパクト」「スピーディ」「モビリティ」。また「あとはインテンシティ。強度が高いサッカーをしないと高校サッカーでは通用しないのでそういったところをピッチで表現出来るようにしたい。高校サッカーはやっぱり蹴ってくるチームが多いですが、それを蹴らせないくらい前線からプレッシャーをかける。やっぱり世界では前線でボールを奪うところが多いんですけど、まだまだ日本は取れないからと行かないということが起こっている。高校年代も育成年代だと思うので、育成しながら結果も出していきたい」と世界基準のサッカーを目指す。
また今年は選手も粒ぞろい。昨年から10番を背負う安倍や高いキック精度や技術を持つ荒井も好選手だ。「前線の子たちがボールを持てるし、ひとりひとり個性があって、アイデアがあるので面白いと思います」。「もともと良いものを持っている子たち。サッカーの原理原則だったり、どう守備するとか、どうボールを奪うとか、どう攻撃をしていくかというところを明確にしてあげればアイデアや発想は持っている。サッカーの全体像をちゃんと理解してというところをトレーニングに落としているので、それを表現してくれるし、理解してやってくれている。まだまだ攻守の切り替えだったり、球際のところだったり、フィジカル的なところとかはもしかしたらまだまだ全国レベルではないのかもしれないので、冬までになんとかそこは上げていきたい」。
2007年にはMF町田也真人(現大分)を擁し、夏冬(ともに初)と全国出場を果たしているが、昨年は選手権を含む3大会で3回戦敗退。ここ2年はベスト16がひとつの壁となっている。
その中で「時間はかかるとは思うんですけど、少しずつ変えられるところと、いままでの良さは継続しつつ結果を求めながらやっていきたい。最近ベスト8とか4には行っていないのでまずは一個上に行けるように頑張りたい」と指揮官。そしてその可能性は十分に持っているチームだ。
石黒登(取材・文)
試合結果
埼玉栄 9-1 本庄第一
5(前半)1
4(後半)0