いまも胸に残る悔しい想いを原動力に、市立浦和FW林隆希は点やプレーでチームを引っ張る
あの時の悔しい想いはいまも胸に残っている。だからこそ今年はー、という想いは誰よりも強い。
昨年の選手権予選1回戦、市立浦和FW林隆希(2年)は前半半ばに相手選手との接触で負傷してしまう。一度はプレーに戻ったものの、痛みは引かず、無念の途中交代。早々にCFを失ったチームは後半2発を喰らって敗れ、林の高校2年の選手権はわずか24分で終わることとなった。
「一個上は結構強かったですし、勝ちたくて、でも自分は何も出来なくて、思い返すと本当に悔しくて。普段はちょっと悔しさを忘れちゃうんですけど、今回はずっといまも続いていて…」。先輩に恩返しをしたかったという想いも強く、あの時の悔しい気持ちはいまも胸に残っている。
だからこそ、今年にかける意気込みは誰よりも強いものを持っている。林は「今年は自分たちの代。FWで僕が点を取らないと勝てないし、失点しても(自分が)点を取れば勝てる。キャプテンじゃないんですけど、プレーで引っ張っていけたらいいなと思います」と言葉に力を込める。
ポストプレーに加え、一番の武器はドリブル。「仕掛けの1対1は得意です。相手の足を見てタイミングをずらすようにして、タイミングがずれた瞬間にスピードを上げるようにしています」。岩槻北陵戦では前半ドリブルで相手をスルスルと交わしゴールに向かう場面もあった。一方で2ゴールという結果には「何個か決定機もあったので、単純にもっと決めたかった」と悔しがる。
「まずは勝ちたい」と勝利への意欲を燃やすFWは、「今年はみんな結構強く行くというか、気持ちが強い人が多い。一戦一戦を大切にして、まずは新人戦の南部支部を優勝して、勢いに乗っていけたらと思います」。あの時の想いを原動力に、今年はNo.10を背負いチームを牽引する。
石黒登(取材・文)