前橋育英FW守屋練太郎が先制弾含む大きな働き。クラブ与野出身の9番は「頭を使って」常勝軍団でも存在感
プリンスリーグ関東2位の前橋育英と3位の昌平の上位対決をわけたひとつは決定力の差だっただろう。その意味では前橋育英FW守屋練太郎(3年)が奪った先制点は大きな1点だった。
「前線からボールにプレッシングに行くというのが最初の狙いだったので、その前からの圧力で自分たちの流れで点が取れた」。前半26分、切り替えの速い守備から奪ったボールに抜け出すと「どうしようと思っていろいろなコースを見たんですけど、距離があって、キーパーが結構出ていたので、抜いたら一番良いかなと思って、咄嗟に判断できたなと思います」とキーパーとの勝負を選択。U-18日本代表候補GK西村遥己(3年)を冷静に交わすと右足で流し込んだ。
また、得点外でも山田耕介監督が「スプリントとか動きは人の倍くらいやる」と試合前のミーティングでも『キーポイント』に上げていたという9番は、精力的に動きながら起点づくりでも大きな働き。「裏に抜けることで自分がスペースを空けて、そこからの攻撃展開とか、また自分がそのままもらってとか攻撃パターンが増やせた。そういうのでチャンスが増えたかなと思います」。終盤も「誰にも負けない」運動量で前線からファイトする姿勢を見せ、90分間走り抜いた。
守屋はクラブ与野の出身で、前橋育英は守屋が中2時の全国高校サッカー選手権で優勝。「やっぱりトップを目指したかったので、日本一を目指しに来ました」とタイガー軍団入りを決意した。
中学校年代はドリブラータイプ。「左サイドで結構ドリブル大好きで、ビルドアップに参加して、ボールに触って、シュートを打ったり、ドリブルしたりしていたんですけど、高校に入ってからFWをやるようになって、自分の足の速さとかを生かして、“頭を使って”やるようになりました」。
常勝軍団で生き残っていくために「プレー中よく考えること」を意識。「中学の時も考えていたと思うんですけど、その頃はサッカーの知識がそんなになかった。高校に入っていろいろな経験をして、自分がどうやったら上に行けるか、このプレーをしたら通用していくとか、自分の強みとかを理解して、プレー中、臨機応変に対応することを意識してプレーしてきました」。新チームからはFWで出場している中で常に考えながら、新たなポジションでも存在感を放っている。
憧れの選手は同じく埼玉県の出身で前橋育英の先輩であり、「得点を取る能力が高い」というFW飯島陸(法政大4年、甲府内定)。その存在に追いつくためにも「まだまだ課題は多いです」。
「自分はフィジカルとかもそんなに強くないし、ちゃんとタメを作れて、もっと裏抜けとか、そこから点に直結するようなプレーが増えてきたり、もっと確実に点が取れたらチームとして楽だと思うので、そういう選手になりたい」。「自分は点を取ることが仕事だと思うので、もっと点を取って、点を取って、得点王になれるように、自分が頼りがいのあるFWになりたいです」。
この日のゴールで6得点目とし、トップと1点差の得点ランク単独3位に。目標とする得点王を視界に捉えつつ、「FWとして絶対的になれるように」これからもさらに努力を続けていく。
石黒登(取材・文)