成立ゼブラの『岩鬼系』、FW佐藤托将が決勝弾!「一番点を取るストライカーになりたい」

成立ゼブラはFW佐藤托将(3年)の終了間際のファインショットで関東大会出場を決めた。

山田育也監督は佐藤について「決してうまい選手じゃないが、彼がいることでチームが盛り上がる。特に(決勝点のような)ああいうちょっと難しいボールをインパクトするのはすごい能力かなと。普通のシュートは逆に入らない。本当にドカベンの岩鬼みたいな(笑)」と、説明する。

岩鬼とは水島新司の野球漫画「ドカベン」に登場する人気キャラクター、岩鬼正美のことでその特徴は「悪球打ち」。いわゆるストライクゾーンを外れるような球を飛ばすことを得意とする。

FC KAWAGUCHIとの代表決定戦。佐藤がその特性を発揮したのは試合終了間際だった。スコアレスで迎えた延長後半11分のラストワンプレー、成立ゼブラはFW齊藤光汰(3年)がエリア外からグラウンダーのシュートを放つ。するとこのボールに反応したのが背番号9だった。

齊藤を視界に捉えながらモーションに入ると、「もう咄嗟に足が出たみたいな感じで。とにかく当てて、枠に入ればと思って打ちました」。シュート性のボールに、シュートで合わせるという離れ業にキーパーも反応出来ず。「決めた時はどんなシュートを打ったっけみたいな、覚えていないくらいすごかった」と本人も大興奮のシュートが決まると、直後に試合終了の笛が鳴った。

「日頃からやっぱり普通のシュートより、変な態勢からとかの方が決まりやすくて、そういう練習もたまにやったりするので、それが出たのかなと思います」と佐藤。普段の練習でもボレーやバイシクルシュートなどダイナミックなプレーを取り入れている、そのプレーがここ一番で出た。

また、得点外でも前線からしっかり追って守備するなど、指揮官も評価する「献身的な動き」。「以前はかっこつけてプレーとかをしていたこともあったんですけど、自分の強み、弱みをしっかりとわかってきて、ちょっと整えました」。チームのために走ることが、自分の良さを出すことにも繋がるとわかり、夏のクラブユース選手権以降はさらに意識を強めて取り組んでいる。

177cmの長身と背後への動きを武器とするFWは、ルカクの収め方や上田絢世の裏抜けを参考に。そのうえで「やっぱり一番点を取るストライカーになりたいです。日本はFWが弱いと言われているので、決定力の高い、点をいっぱい生み出せる選手になりたい」とし、「(関東大会でも)自分が点を取ってチームを勝たせて、全国に出られるように頑張りたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)