埼玉サッカー通信的 2020シーズン高校サッカー注目選手<MF、FW編>
10日、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、関東高校サッカー大会及び埼玉県予選の中止が発表された。また併せて5月に予定されていたインターハイ予選やリーグ戦も延期となるなど、選手たちにとっては厳しい日常が続いている。いまは1日でも早い収束を願うばかりだ。ここでは新人戦で実際にプレーを見た選手の中で今年の主役となりうる選手たちを取り上げた。彼らのプレーや今年への想いを振り返りつつ、サッカーのある日々の再開を待ちたい。石黒登(取材・文)
MF須藤直輝(昌平)
大団円のラストを目指して
新人戦は高校選抜の活動もあり、なかなか合わせる時間もなかった中で、もはや安心感すら感じさせるプレーで攻撃を牽引した。入学時から10番を背負い、インハイ3位、選手権8強と歴史を作ってきた男にとっても今年は高校サッカーラストイヤー。「自分自身全然満足はしていない。満足いくような結果になれるようにやっていきたい」と須藤。満足のいく結果とはもちろん、選手権での全国制覇だ。2019年選手権埼玉県予選、全国大会優秀選手、日本高校選抜。
MF小川優介(昌平)
「自分を出していかないと意味がない」
今冬は2年生カルテッドの一員として全国8強に大きく貢献した小川だが、ほかの3人が優秀選手入りした一方で選外に。「最高学年となったこの新チームで自分を出していかないともう意味がない」。悔しさを力に変えて挑んだ新人戦は初戦、高校選抜3人を欠く中で気迫あふれるプレーでチームを牽引。決勝点に繋がるPKを奪った。2019年選手権埼玉県予選優秀選手。
MF村田智哉(西武台)
攻撃センス抜群な前線のユーティリティー
昨年は中盤底から的確にさばくレジスタといった印象だったが、今年は抜群の攻撃センスを生かして、シャドー、センターFWも務める前線のユーティリティへと進化。守屋監督をして「村田がどこに入るかで戦術が変わる」と語る攻撃の核だ。新人戦準決勝で見せたオーバーヘッドでのゴールは現時点での今年のベストゴールだろう。2019年選手権埼玉県予選優秀選手。
MF吉野斐斗(狭山ヶ丘)
狭山ヶ丘のジャックナイフ
今年はアタッキングサードについては個々のインテリジェンスに委ねられているという中で「いまはピッチでアイディアを出しながら自分の特徴のドリブルがいつでも出せるような状況になっている」と吉野。その結果、ゴールに迫るシーンも増え、相手ディフェンダーにとってさらに怖い選手になった。卒業後は海外もひとつ視野に入れるスケールの大きなアタッカー。
MF水野将人(武南)
武南のキレキレドリブラー
新人戦は昌平に2ー3と敗れ1回戦敗退となった武南だが、その中でも存在感を放ったのが1年生(現2年生)MFの水野だ。後半は積極果敢なドリブルで左サイドを切り裂き、前半のチームに足りなかった前向きのエネルギーを追加。同点弾は水野の仕掛けがきっかけだった。その後シーソーゲームとなる中で最終的に敗れたが、随所に可能性を感じさせるプレーを見せた。
MF倉持廣斗(川口青陵)
対戦相手も驚いた「あの10番」
昨年は山田純輝監督4年目で初の選手権予選決勝トーナメント進出。2次予選でもひとつ勝ち、ステージアップした川口青陵で今年「10」を背負うのが倉持だ。新人戦は支部予選準々決勝で浦和西に敗れ県大会出場とはならなかったが、中盤底から的確にボールを配球し、味方の攻撃を引き出した司令塔に対し、試合後相手選手からも「あの10番」という声が多く聞かれた。
MF船越嶺(市立浦和)
アタックを司るプレーメーカー
新人戦は残念ながら支部で敗退となったが、今年面白そうだと感じたのが市立浦和。その中心選手が船越だ。尾間木中で県No.1も経験したプレーメーカーは中盤底から的確にパスを捌いてゲームを展開。アタックの起点となり続けた。ほかにも今年のチームは花田や小松など前線に昨年を経験した面白いタレントが多く、彼らが近い距離感で繋ぐダイレクトプレーは必見だ。
FW小見洋太(昌平)
注目度No.1 FW
今冬の選手権では代名詞の裏への抜け出しやポストプレーで味方の攻撃を引き出し、昌平の全国8強入りに大きく貢献。そのプレーぶりが評価されて日本高校選抜に選出、そしてU-18日本代表にも選ばれた。全国で得た手応え、代表での経験を生かして、今年はさらなる飛躍の1年とできるか。2019年選手権埼玉県予選、全国大会優秀選手、日本高校選抜、U-18日本代表。
FW大野田駿(西武台)
「バイプレーヤー」から「主役」へ
昨年から主に右のシャドーでプレー。前線からの守備を惜しまない献身的なプレースタイルでインハイ出場に貢献した。泥臭いプレーも厭わない一方で、新座二中時代には中体連から国体を目指す県トレメンバーに入った実力者。新座二中・横田監督は「うまさもある中で脇役にもなれる選手」と語っていた。今年は「バイプレーヤー」から「主役」への脱皮が期待される。
FW古澤将吾(浦和東)
結果を求める浦和東のエース
200人を超える部員の中で2年時から10番を背負う。182cmの長身を生かしたポストプレーと戦う姿勢は古澤の持ち味だ。昨年は5年ぶりの関東大会出場を果たした一方、チームとして攻撃の最後の部分で質を発揮することができず、古澤も「ゴール前のところをもっと大事にしていかなければいけない」と話していた。今年はエリア内の質を上げて、ゴール量産を目指す。
石黒登(取材・文)