大宮U15DF中澤凜「センバでもやってやろう」 FW出身のCBがゴールへの嗅覚示し、10年ぶりのファイナル導く決勝弾!
FW出身のCBが10年ぶりに全国決勝の扉を開いた。大宮アルディージャU15DF中澤凜(3年)は「泰斗と練習から合わせているのでいつも通り」と殊勲のゴールに胸を張った。
どちらに転んでもおかしくない展開の中で迎えた後半10分、大宮U15は敵陣右中間でフリーキックを獲得すると、MF神田泰斗(3年)の正確なキックに飛び込んだのは中澤だ。
「相手がマークにつくんじゃなくて、ゾーンだったので、相手よりも前で触るっていうより、空いたスペースで先に触るっていうイメージでした」。ドンピシャのタイミングでゴール前に入り込むと、しっかりと叩きつけるヘディングでゴール。そしてこれが決勝点となった。
ジュニア年代を過ごした1FC川越水上公園時代はもともとフォワード。中学校1年生からセンターバックにコンバートされたが、「自分自身、小学校4年生から6年生まで1FCでフォワードでやってきて、「点を決めたい!」っていう、自分の意志が結構強いんですよ。なのでセンバでもやってやろうみたいな、思ってました」とゴールへの強い気持ちを明かす。
丹野友輔監督も「セットプレーは今年の強み。特に中澤に関してはコーナーキックとかセットプレーになった時には「お前がストライカーだからな」っていう話しはしている」というCBは今季、主戦場となる関東1部リーグでもセットプレーから5ゴールを量産。「関東リーグで結構決めてきていたので、この舞台で決めることができて良かった」と笑顔を見せた。
もちろん本職のディフェンスでもチームを牽引。「レイソルは結構タフに戦ってくるので、背後の動きとか、そういうのもカバーし合ったり、1個1個を前に強くとか、相手の10番がうまいので、そこは警戒してっていうのを話ながらやっていました」。立ち上がりは要警戒の10番が左ワイドだった中で右SBの遠藤柊眞(3年)と連携しながらチャレンジ&カバーを徹底。最後の部分でシュートブロックに入るなど、3試合連続の零封にも貢献した。
今季は関東リーグ最少失点、今大会も4試合1失点で2回戦以降は無失点と堅守が光る。「そこは自信を持っています。夏は1点決めてから2失点したりしていたので、そういう経験を生かして、練習で積み上げてきて、冬は絶対にもう守備面では固く、攻撃面では大量得点というのを練習からやってきたので、そういう自信はあります」と堅守に自信を見せる。
「常にブレることなく、失点は少なく、ほぼ無失点で行きたいと思っていますし、空中戦とか1対1とか、そういう球際でも勝って、タフに戦える選手になりたいなと思っています」。
今年高校3年生ながらトップチームでも活躍したU18の市原吏音と1FCのOBで明治大に進学した小澤晴樹が目標。「吏音くんは空中戦とかボールのキック精度はもう本当にすごいと思っていますし、小澤くんは1個1個の局面で負けないっていうのが強くて、闘志も溢れていて、そういうのを目標にしています」。先輩たちのプレーに学びながら成長中だ。
そんな先輩たちも達成できなかった全国優勝へ。「スタメンで出ている11人だけじゃなくて、怪我している選手だったり、ベンチの選手だったり、ベンチに入れない選手もいるので、そういう気持ちも背負って、自分のためだけじゃなくて、チームのために戦っていきたい。決勝でもいままで自分たちがやってきたものをしっかりとここのピッチで表現して、絶対に勝ちたいなと思います」。決勝でもタフに戦いながら、セットプレーとなればV弾を狙う。
石黒登(取材・文)