選手権前最後の公式戦で2G1A!16年ぶりの冬の全国を目指す武南の10番、MF松原史季は3年生への恩返し&結果を出して代表へのアピール誓う

代表にも選ばれるきっかけとなった、あの戦いの場へ。1年時から名門校・武南の10番を背負うMF松原史季(2年)が、選手権予選前最後のリーグ戦で2ゴール、1アシストと躍動した。

2日に行われたS1リーグ後期の浦和学院戦。右サイドに入った前半はクロスで先制ゴールをアシストしたものの、ボールが足元に入ってしまい、うまく仕掛けることが出来なかったという。

それでも味方にアクシデントがあり、トップ下に移った後半はさすがのクオリティーを見せる。中央でボールを受ける回数を増やすと、そこから積極的に仕掛けてゴールに迫る姿勢を強めた。

14分にはゴールエリア内でボールを受け、交わし切らぬうちに右足を一閃してゲット。さらに29分にはMF山田藍大(3年)とスイッチする形で抜け出し。「まったく同じシーンが後半にあって、真ん中に打って弾かれてしまったシーンが1個あったのでしっかり相手を外して、ファーに打とうかなと。自主練でああいう形とかをやっていて、自分的にはイメージ通りにできたので、蹴った瞬間「もう入ったな」と思いました」とイメージ通りの一発を沈め、試合を決定づけた。

この夏からは右SHに挑戦中。「トップ下をやっていると、自分でドリブルするっていうよりかは、味方を使いながらっていうパターンが多くなって、自分の中でドリブルで自分で行くっていう意識があまり薄れてきちゃっていて。サイドからだとどうしても自分で1人打開しなくちゃいけない場面が多くなってくる。やっぱりひとつのプレーで状況を変えられるというか、ドリブルでグイッと入り込めるようなところっていうのは、多分監督の意図としてはあって、外からもやれるし、外から中に入って仕掛ける、真ん中でやるっていうのは、どっちもできるように意識しています」と松原。後半はサイドでの経験を生かし、トップ下でも積極的にドリブルでゴールへ。また、右サイドでのプレーは左足の強化にも繋がるなど、プレーの選択肢が広がったという。

その中でもトップ下というポジションには、やはり強いこだわり。「今日は久しぶりにトップ下の方でやったので、ここで1個見せておかないと、っていう気持ちはあった。それが2ゴールに繋がったので、良かったかなと思います」と結果で内野慎一郎監督にしっかりアピールした。

自身2度目の選手権予選へ。まず最初に話したのは3年生への想い。「いまの3年生とは2年間一緒にやってきているわけで、すごい自分は思うものが大きくて、やっぱり勝たせてあげたいっていう気持ちだったり、去年も3年生を恩返ししたいっていう気持ちは言ったと思うんですけど、今年はさらにそういう気持ちが強い。そのためにもしっかり自分が結果残していかないといけないので、しっかり責任感持って、今年の選手権に臨んでいきたいなと思っています」と話す。

昨年は選手権予選での活躍が評価され、U-16日本代表候補にも選出されたが、一方で今年は1年代表から遠ざかる形に。「一緒にやっていたメンバーが代表に定着して、Jの選手は2種登録とかしたりしているのはやっぱりすごい自分にとって刺激になる。そういう選手と一緒にやった仲間っていうのは自分としても誇らしいですし、やっぱ負けてられないなというのはすごい思っている。インハイはアピールの場だったんですけど、無駄にしてしまったので、あとはもう(今年は)残りは選手権なので、選手権でしっかり活躍して、代表にもアピールしたい」と話す。

「来年はもう卒業の年なので、大学関係とかプロのこともそうですけど、そういうところでしっかり見に来ている時にアピールできるような、波がない選手になりたいと思っている。常に良いプレーができるように、しっかりとコンディションとかも整えて、今年の選手権に臨みたいです」

お世話になった3年生への恩返しと、結果を出して再び代表にもアピール――。16年ぶりの冬の全国を狙う名門校の2年生10番は、2つの強い気持ちを持って2度目の選手権予選に臨む。

石黒登(取材・文)