守護神・熊倉匠(レジスタ出身)が決勝に導くPKストップ。決勝は「自分たちがやってきたことを信じてチャレンジャーとして戦う」

今大会2度目のPK戦。山梨学院の守護神・熊倉匠(レジスタFC→FC東京U-15深川)は「今日は自分は何もやっていなくて、本当にチームに貢献したいという気持ちであのPKは臨んだ。PKは得意なので絶対に止めてやろうという気持ちでいました」とその時の心境を振り返った。

両手を大きく伸ばし威嚇するようにして入ると、後攻の相手の1本目を右に飛んでストップしてガッツポーズ。その後、相手の2本目がキックミスとなり、早々に2本のアドバンテージを得た山梨学院だったが、3本目、4本目を帝京長岡GK佐藤安悟に連続してセーブされて後攻の4本目を決められれば同点とされる状況に。それでも熊倉はここを落ち着いて左で止めると、直後味方の5本目が決まり、山梨学院の11年ぶりの決勝進出が決まった。

自らの好守で決勝を掴んだ熊倉だが、「今日勝てて次に繋がったということは良かったんですけど、内容としては早い段階で点数を取って優位な方向に進められた中で守備の集中力が切れて2失点してしまい、PKになってしまったのでそこは本当に直していかなければいけないところ」と反省。決勝では90分を通して集中力を切らさずに臨むことを修正点に挙げた。

埼玉県出身の熊倉にとっては埼スタでのピッチは凱旋の舞台となったはずだが、大会は新型コロナの感染拡大により無観客に。また7日に緊急事態宣言が発令されたことにより、準決勝、決勝は学校関係者や親族の観戦も禁止となった。「いままで支えてきてくれた親だったり、仲間に見てもらえないということは本当に悲しいことだし、悔しいことだったんですけど、テレビの向こうで応援してくれていると言っていていましたし、試合に出られない仲間のためにも、今日のゲームは絶対に勝って恩返しじゃないですけど、本当にやってやろうという気持ちで今日は臨みました」。さまざまな想いを背負ってこの舞台に立っている。

決勝の相手は3年連続の進出をなった青森山田に。「本当に伝統ある高校で強豪校だと思うんですけど、自分たちがいままでやってきたことを信じて、チャレンジャーとして戦ったらいいんじゃないかと思っています」。王者に対しても臆さずに挑み、11年ぶりの栄冠を掴む。

石黒登(取材・文)