正智深谷GK望月奎杜主将は仲間たちに感謝!昨年からの成長示し、後期はわずか1失点
終了のホイッスルが鳴ると、ピッチに仰向けに倒れ込み、両手で顔を覆って喜びを噛みしめた。
「(溢れるものは)ありました。選手権で悔しい想いをして、なかなか気持ちの切り替えができない中でキャプテンの自分も含め、チームのみんなが鼓舞してくれて、後輩たちのためにプリンスに上げて終わろうと話していたので優勝できて良かった。ホッとしています」。正智深谷GK望月奎杜(3年)主将はそう言って、10年ぶりの県リーグ制覇が決まった瞬間を振り返った。
選手権は延長ラストワンプレーで失点し、準々決勝で聖望学園に敗退した。「自分が一番責任というのを感じていて…。去年から試合に出ていたというのもそうなんですけど、選手権全国出場を目標にしてやっていたので、そこで最後の最後で負けたことは本当にメンタルをやられた」。
懸けていただけに「1週間経っても気持ちが切り替えられなくて、練習のところで選手権前みたいな、気持ちが入った練習ができなかった」。それでもこの状況を救ってくれたのが仲間たちだ。
「キャプテンが気持ちを切り替えられずに、S1に向かっていけないのは違うんじゃないかと。最後のS1のところをお前が引っ張って優勝して終わろうよと鼓舞された」。いつも気持ちを入れてくれるというDF青木祐太やMF大島あらた、FW佐合海哉(ともに3年)からは個別で長文のライン。「そこでやっぱり自分がやらないとなって改めて思った。チームメイトに感謝です」。
選手権敗退から約2週間後、決勝の裏で行われたリーグ再開初戦の武南戦を1-0で勝利すると、中4日で行われた武蔵越生戦も3-0で勝利し、10年ぶりのリーグ制覇に王手をかけた。
最終節は2位・昌平Ⅱとの天王山。昨年は残り2節で迎えた直接対決で終了直前に失点し、まくられた相手との対戦で「後ろからみんなを鼓舞したり、声をかけて、失点0でいこうと思っていた」。今年はチーム的にもおとなしい選手が多かった中で「そこは1年間やり続けた」という声の部分で鼓舞しつつ、前半35分には相手FWとの1対1に好反応を見せて右手1本で止めた。
後半も安定した守備で「0」に抑え、タイトル奪取に貢献した。昨年も18試合で14失点とリーグ2位の失点数の少なさだった中で、今季は最少の9失点。特に後期はわずかに1失点だった。「チームにも感謝ですけど、自分の成長もあったのかなと思います」と昨年からの成長を見せた。
卒業後は地元・愛知に帰り、大学でサッカーを続ける予定。その前にやらなければいけないことがある。「自分たちの山は強い高校だったり、初戦で当たるジェフさんも強いと思うので、それは良い経験にもなると思うんですけど、良い経験ができましたじゃ終われない。後輩たちのためにもプリンスにあげたい」。後輩たちにプリンスリーグの環境を残し、高校サッカーを旅立つ。
石黒登(取材・文)