埼玉大学

サイタマ ダイガク

活動拠点埼玉大学サッカー場、レッズランド
練習日火曜、水曜、金曜、土曜、日曜日 (平日16:30から18:30)
HPアドレスhttp://www.saitama-u.ac.jp

埼玉県サッカーの歴史は1908年に旧埼玉県師範学校、現在の埼玉大学に赴任した細木志朗先生が生徒たちにサッカーを教えたのが始まりだといわれる。細木先生の薫陶を受けた教え子たちが県内各地に散らばり、サッカーを広めたことで現在のサッカーどころ・埼玉が形作られた。

歴史ある同校で現在指揮を執るのが菊原伸郎監督だ。読売ユース、県立相模原高校を経て筑波大学を卒業後1994年に浦和レッズに加入、翌年に現役を引退したが、その後指導の道を志して筑波大学大学院に進むと1999年より大阪商業大学で講師を務め、2007年に埼玉大学に赴任した。そんな菊原監督を一言で表すならサッカー求道者。好きな言葉は「興味、関心に忠実であれ」。他種目のゴルフ・囲碁・武道・表現運動などから刺激を受け、サッカーの研究を続けている。

菊原伸郎監督

Tr.(トレーニング)は菊原ゼミの学生(院生含む)が主体となって行う。今年1月にはスポーツ庁が中学校の部活動について週2日以上の休養日を設ける指針案を発表し様々な反響を呼んだが、これに対して筑波大時代に1年間ドイツに留学した自身の経験からアマチュアの全体Tr.で指導者が直接関わる時間は、「Tr.時間2時間以内・週2日休みの確保はマスト」と指揮官。育成年代は「自律した人材・自立できる人材」の養成期にあるため、選手は自らの心身と常に会話し、指導者は選手の心身をサポートしながら「技と戦術」の力を高めていく手助けに徹することを推奨する。

その上で自主Tr.の中身を充実させていくことが重要だと話し、「そのための刺激はたくさん与え、評価は適宜している」という。「指導者がサポートできる範囲は限られている。質の高い自主Tr.ができる人間を育てることが目的へ辿り着くための一番の近道であり、本筋じゃないかと。力を抜くところと入れるところのメリハリがつくような、オンとオフがつけられるような人間になれば、自ずとサッカーの力は上がると考えている」。

昨年は県2部で2位となり入れ替え戦に進出。共栄大学戦では後半に追いつかれながらも終盤に勝ち越し点を奪って昇格を決めた。2季ぶりに県1部を戦うチームは「ひとつの目標に向かう時のハマり具合は半端がない」とのこと。目標については「次のステージ、次のステージ、今日より明日」とあえて抽象的な表現を使ったが、同時に「そこをこじ開けられる選手、人間になってくれたら我々のサッカーは更に面白くなってくる」と選手たちのブレークスルーを期待する。

学生の半数は教育学部で卒業後は教職に進む。「サッカーを愛していてみんなで一緒に考える。自らが勉強をし続ける指導者になってほしい」と菊原監督。細木先生がこの地にサッカーを根付かせて100数年。埼玉大学はいまも埼玉県サッカー界に種を撒き続けている。

石黒登(取材・文)

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