第74回国民体育大会関東ブロック大会 埼玉県 vs 栃木県

第74回国民体育大会関東ブロック大会・代表決定戦1回戦。栃木県選抜と対戦した埼玉県選抜は後半7分のDF大野海翔のゴールで同点とするとPK戦の末に勝利し、2回戦進出を決めた。

前日とは打って変わりブロックを敷いてくる相手に対し、埼玉県選抜は後ろからしっかりと繋ぎながら大きなサイドチェンジやロングフィードなどピッチ幅を広く使って攻撃。前半24分にはMF川辺球尊(大宮アルディージャU18)が右サイドに振ってDF田島魁人(昌平高)の思い切りの良いカットインからのシュートがゴール上方を捉えたが、キーパーの好守に防がれた。

だが、ボールを持って試合を進める一方で「最後の部分でチャレンジが少なく、相手のディフェンダーは余裕を持って対応していた」と指揮官が語ったように崩しきれずにいると後半開始2分、エリア前で守備が甘くなったところをミドルシュートを叩き込まれ、先制点を許した。

相手の狙いとする形で失点したが、この日のチームはここで崩れず。その5分後、敵陣右サイドで失ったボールに対し、FW須田康太郎が切り替えの速さを見せてすぐに奪い返すとタッチライン際まで走ってクロス。これをファーサイドに飛び込んだ大野が決めて同点に追いつく。

終盤は途中出場のFW高橋悠(浦和レッズユース)が左サイドから鋭く抉ってシュートを放つなど押し込んだが、得点は生まれず。レギュレーションにより、勝負はPK戦に委ねられた。両軍ともに7人目まで全員が成功させた中で先行の埼玉県選抜は8人目もきっちりと決めると、その裏、GK西村遥己が右に飛んで仕留めて勝負あり。接戦を制し、最終日にコマを進めた。

田渕常夫監督は「チームの雰囲気は昨日の敗戦があって、良くなっている。調子も徐々に上がってきているので、疲労はあると思うが、明日はむしろ上向きな調子でできるんじゃないか。自分たちの力を信じてやれば必ず勝てると思うので、そういうものを引き出せれば」とした。

埼玉県選抜は12日、関東ブロック最後の代表枠「1」をかけて、神奈川県選抜と激突する。

守護神・西村はムード作りにも一役 PKは「ベンチに飛び込むイメージはできていた」

試合前の集合写真撮影の一幕。この日の音頭を取ったGK西村遥己は「今日は僕のお父さんの誕生日でーす! 締まっていきましょう」と、突然の告白で仲間やスタッフ陣の笑顔を誘った。

「初戦もあってちょっと緊張していたので、みんなをリラックスさせようと思って。自分で言うのも変なんですが、チームの中でムードメーカーじゃないですけど、そういう部分があるのでみんなを和ませようと思ってやりました」。試合後、西村はそう発言の狙いを話してくれた。

背番号1はプレーでも前半2本の決定機を阻止。後半立ち上がりに1失点はしたが、その後はディフェンスラインを連携し、後ろから声を出しながらしっかりと切り替えて0に抑えた。

そして巡ってきたPK戦。前回は直前で同じく昌平高の松葉遥風と交代、ラストワンプレーで決勝点を喫した。「本人も悔しい負け方だったと思うし、松葉の分まで止めなきゃと思っていた。自分で行かせてもらえるならと思って、PKの準備はずっと昨日の夜からしていました」。

PKに入る時には「もうベンチに飛び込むイメージはできていた」という。互いに7本目まで成功、先行の味方が決めて迎えた栃木の8人目。「PKは相手のスパイクや顔立ち、試合中のプレーとかを見て、左に置きに行きそうなタイプか、右に力強く蹴ってくるタイプかを見ている」という理論派は相手が左に置きにきたボールをきっちりと読んで渾身のガッツポーズ。そのままベンチに向かって走り出すと、仲間たちにもみくちゃにされながら歓喜の瞬間を味わった。

ちなみに初戦は応援に駆けつけてくれたものの、この日は残念ながら来られなかったという父には「この後ラインしてみます」とのこと。きっと最高の誕生日プレゼントになったはずだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

埼玉県 1(8PK7)1 栃木県

0(前半)0
1(後半)1
8(PK)7

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