熊谷が難しい初戦を制す。経験を積み重ねながら上へ、米光「また強いクマタカを見せたい」

全国高校サッカー選手権が終わったばかりだが、もう次への戦いは始まっている。新人大会の各支部予選が15日に開幕。北部支部では熊谷が3-0で深谷第一を下し、2回戦進出を決めた。

立ち上がりから熊谷はスピードのあるMF富施琉雅(2年)や今年の代のキャプテンを務めるMF金井汰郎(2年)が縦へ抜け出しながらチャンスメイク。そこで得たセットプレーから6分、セカンドボールをDF米光将太郎(2年)が狙ったミドルシュートがクロスバーを強襲した。

一方、深谷第一は粘り強く戦いながらDF目﨑陸玖(1年)のロングスローからゴールに迫る。

熊谷は前半24分にFW福島康太(2年)が抜け出しから決定機、35分にはコーナーキックのこぼれ球をDF小峰洸介(2年)のシュートがクロスバーに嫌われるなど、なかなかネットを揺らすことが出来なかったが、37分にゴール前の混戦を福島が決めきって先制し、試合を折り返す。

後半は深谷第一が同点ゴールを奪うべく、前へ。MF吉田裕人(2年)が展開力を見せ、そこからFW田島駿(2年)やMF武田風己(2年)が追い越しながらクロスを入れてゴールに迫る。

それでも深谷第一はこの時間帯をGK新舩大智(2年)や昨年からの主力である米光が声をかけて味方を鼓舞しながら献身的な守備。また、中盤ではMF本田吏(2年)が運動量を発揮してスペースを埋める動きも効いていた。田渕常夫監督も「後ろの選手がよくやってくれた」と讃える。

すると後半35分、相手セットプレーからの速攻で、富施がグングンスピードを上げながら右サイドを駆け上がりクロスを送ると、これをファーサイドで金井が流し込み、欲しかった追加点。熊谷は40分にも富施が自ら獲得したPKを冷静に沈めてダメを押し、難しい初戦をものにした。

田淵監督は「シンプルに選手がよくやってくれたなと、頑張ってくれたなというのが印象です。また深谷第一さんもシード校ということでかなり気合いの入ったゲームだったと思うので、こういう厳しいゲームをして、うちの選手も成長出来たかなというふうに思います」と振り返る。

昨年の代は3年生が多く主力を務めていたこともあり、今年のチームは経験値がまだ少ない。

「局面局面でのプレーはそれぞれトレーニングもしているので出来るんですけど、じゃあ80分の試合を通してスコアのやりとりをどうするとか、この時間帯ってこういう流れだよねとか、ある程度守備的にやった方がいいよねとか、ちょっと攻撃的に行った方がいいなとか、このエリアを使った方がいいなとか、というところの感覚がまだないのでそこを養って欲しい」(監督)

この試合では田渕監督がベンチからコーチングを加え、それに対し選手たちは公式戦の舞台でひとつひとつを理解しながら、1試合を通して、しっかりとゲームをコントロールしていた。

今年のチームは「元気の良さ」「明るさ」が自慢。キャプテン兼部長の金井は「試合中も声の量は増やすようにはしていますし、単純に個が強いというわけでもないチームなんですけど、組織のところでほかのチームを上回れるようなチームにしていきたいし、そうありたい」と話す。

経験値の不足は「チーム力」でカバー。その上で勝ち進みながら必要な経験を積み重ねていく。

昨年は選手権予選で悔しい1次予選敗退。昨年からの数少ないレギュラーメンバーである米光は「先輩たちを超えて、しっかりまた強いクマタカを見せていけたら」と言葉に力を込めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

熊谷 3-0 深谷第一
1(前半)0
2(後半)0