57年ぶり選手権4強に続き、最後にもうひとつ歴史―。立教新座が初のS1リーグ昇格!自主性が育んだチーム一丸の精神

歴史を作った代が最後にもうひとつ歴史―。S2リーグの2位決定戦が5日に行われ、立教新座(S2A・2位)と浦和西(S2B・2位)が対戦。ゲームは終盤までスコアレスで進んでいった中、終了直前に決勝点を叩き込んだ立教新座が1-0で勝利し、来季のS1リーグ昇格を決めた。

立教新座は57年ぶりの選手権予選4強に続き、初のS1昇格。前田和伸監督は「どっちに転んでもおかしくないゲームを本当に彼らが最後もぎ取ってくれた。今年は歴史を作ってくれた。来年以降すごく厳しい戦いになるとは思うんですけど、しっかり鍛えて、今年だけと言われることのないように、また積み重ねては行きたいですね」と今年のチームを労いつつ、来季を見据えた。

プリンスリーグは来シーズンから2部制に復帰。それに伴い、S2リーグからも自動昇格の2枠に加え、その直前の試合でS1優勝を決め、来季のプリンス関東2部以上を決めた西武台の1枠を含め、今年の昇格枠は確定で「3」に。この試合に勝った方が昇格を決められる大一番だった。

試合は0-0で後半へ。浦和西は得意のセットプレーで攻勢を仕掛ける。10分にMF片野駿(2年)のコーナーキックからDF珍田知輝(3年)が惜しいヘディングシュート。これまでの試合と同じように、1度ダメでも2度、3度と連続してゴール前に入れて相手守備陣に圧をかける。

後半27分、FW安倍光暉(3年)のロングスローの展開から珍田が狙ったシュートがゴール上に外れたが、狙いは良かった。34分にはコーナーキックから混戦となったところを途中出場のMF加藤翼(3年)が詰めたシュートがネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定となった。

一方、立教新座はハーフタイム明けのMF高松大地(3年)の決定機後は耐える展開が続いた。それでも選手権でも優秀選手に選ばれたDF齋藤隼一(3年)がこの日も高い空中能力を見せて相手のロングボールを弾き続け、MF熊谷哲人(3年)もミドルシュートに足を伸ばし、途中出場のDF三浦航(3年)も仲間たちにゲキを飛ばしながらチームを引き締めて失点0で終盤へ。

するとゲームが動いたのは後半44分。立教新座はコーナーキックの混戦のこぼれ球をDF岡本聡吾(1年)が左足を一閃してネットを揺らし、これが来季のS1昇格を決める決勝点となった。

今年は前述のように57年ぶりの選手権予選ベスト4入り(当時は立教。現校名では初)、そして初の県トップリーグ昇格を決めるなど、歴史を打ち立ててきた代。前田監督は「今年は本当に私がどうこうというより、生徒の取り組みにこちらが頭が下がることが多かった」と振り返る。

キャプテンを務める三浦は「この代が始まる前にZoomのミーティングで、この学年は40人いるんですけど、全員呼んで、本当に2週間くらいで全員で目標を決めて、ちゃんと全員が個人目標とチーム目標、チームもAの目標とBの目標を決めて、1年間やってきたんです」と明かす。

その中でその目標を達成するために練習外でも何グループかにチームを縦割りし、競い合う形で走ったり、自主的に和光市にある運動公園に集まってトレーニング。主将の三浦、副将の齋藤隼、MF大塚康生(3年)が中心になって始まった和は最終的に20、30人の大きな和となった。

「本当にチーム一丸となって目指すべき目標を目指してきた結果がここに繋がった」(三浦)

3年前の関東予選準Vを見て入ってきた代は埼玉の頂点というひとつの目標に向かいながら一丸となり、立教新座に過去最高の成績とともに、最後にもうひとつ新しい歴史を刻み込んだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

立教新座 1-0 浦和西
0(前半)0
1(後半)0