西武台が選手権に続き、無敗で11年ぶりのS1制覇!「まだまだ秘めているものがある」チームは意識高く準備を重ねて最高の形で選手権へ
S1リーグ最終節が5日に行われ、首位の西武台と2位の正智深谷が対戦。試合は1-1の引き分けに終わったものの、勝ち点を「42」に伸ばした西武台が11年ぶりのリーグ制覇を飾った。
今年の覇権は最後までもつれることに。さらに最終節は勝ち点「41」の西武台と同「40」で2位正智深谷の直接対決。西武台は引き分け以上で、正智深谷は勝てば優勝が決まる熱い展開だった。
また来季からプリンスリーグは2部制に。県リーグ優勝チームはプリンス関東2部が確定(昇格POで勝てば1部)するなど、そういった意味でも両雄ともにテンションの高い試合となった。
勝利が絶対条件の正智深谷はDF森下巧(3年)、DF小屋結世(2年)を中心に粘り強く守り、最後の局面ではGK小櫃政儀(3年)が身体を張ってゴールに鍵。MF増子康介(3年)やMF初雁龍(2年)を起点に押し込む時間を増やし、MF大野涼真(3年)がフィニッシュに絡む。すると38分、MF寺田海成(3年)のクロスを収めたMF渡辺友斗(3年)が冷静に切り返し左足で流し込んで先制。この時点で正智深谷が勝ち点「43」とし、「41」の西武台を逆転する。
一方、西武台はこの日採用したシステムがうまく嵌らずまさかの大ブレーキ。前半ATにMF松原海斗(3年)のドリブル突破からのクロスをDF安木颯汰(3年)がシュート、そこで得たコーナーキックからDF河合陸玖(2年)が狙ったが、あまり決定機を作ることは出来なかった。
それでも今季無敗を続けてきたチーム。後半からFW細田優陽(3年)、MF山本匠馬(3年)を投入し、いつもの形に戻すと、13分に安木のボールカットからのスルーパスを今年エースストライカーとして飛躍を遂げた象徴的選手、FW市川遥人(3年)が合わせて同点に追いつく。
これで勝ち点は西武台が「42」、正智深谷は「41」と再び逆転。その後は一進一退となる中で正智深谷は終盤クロスに寺田が触ればという場面を作ったが、決めきることが出来ずタイムアップ。西武台が選手権同様、2010年以来11年ぶりとなる県制覇、プリンス関東復帰を果たした。
選手権に続き目標のひとつとしていたリーグ優勝を叶えた形だが、全国を控えるチームにとっては課題も多く出た。守屋保監督は「自分たちがやりたいことじゃなくて、今後プリンスリーグだとか上に上がれば、自分たちがやれることを増やしていって、理解して、いろいろな形で仕事を増やして欲しいなと」今後のステージを見据えて繋ぐサッカーではなく、ある程度蹴るサッカーとしたことを説明。守備には及第点を与えた中で「攻撃の部分の1対1がまだまだ弱い。どんなボールでも収めてしっかりと戦える。そういう強さが出てきてほしい」と一層の成長を求めた。
それでも無敗での優勝は立派な結果。指揮官もそこは「ちょっとこだわりました」とし、「よく乗り越えてくれた。1年間安定していたんだなというのは感じます」と評価。原田主将は「引き分けている試合はどれも良い試合ではなかった。勝ち切る強さがないと選手権では戦っていけない」としたうえで「やっぱり一番は負けないこと。チャレンジャーの気持ちを持って、一戦一戦を大事にやってきたことが結果として出ている」と勝ちにこだわってきたことを明かした。
プリンス関東1部をかけた昇格戦、そして延命の選手権とこの1か月は大事になってくるが、守屋監督は「本当にまだまだ伸ばしたいというか、楽しみなところはたくさんある。もうちょっと成長させたいなというのがどんどんどんどん出てくるので、そこがちょっといままでやってきた中で違うところかなと。勝ちたい、勝ちたいというより、先にちょっと成長させたいなとか、もうひとつこういうことができないのかなとか、“まだ秘めているものがある”。そんなところを出せるような参入戦と選手権にしたい」というように、チームにはまだまだ伸びしろがある。その伸びしろを最大限に生かすため、各々がさらに意識高く準備を重ね、最高の形で選手権に臨む。
石黒登(取材・文)
試合結果
西武台 1-0 正智深谷
0(前半)0
1(後半)0