「武南として負けられない」最後に見せた古豪の意地。15年ぶりの選手権に向け4強に進出

選手権埼玉県大会準々決勝。武南は1-0で細田学園を下し、4年ぶりの4強進出を決めた。

15年ぶりの選手権出場を狙う武南と3年連続8強の細田学園との一戦。武南はボールを支配しながら、俊足を誇るMF水野将人(3年)、注目の1年生10番MF松原史季が積極的にゴールを狙っていく。また、夏以降に台頭したという右WB江川颯軌(2年)、インハイでは右WBを務め、左にコンバートした重信有佑(2年)の両WBを活用したアタックでチャンスを作った。

一方、細田学園も後ろから丁寧に繋ぎながら、機を見て今大会6ゴールのFW金子弘輝(3年)、FW滝澤夏惟(2年)にロングボールを供給し、武南の中盤を押し下げることに成功。さらに狙いとしていた幅を使った攻撃で前半18分、金子のポストプレーからMF田端優作(2年)がシュート。これは武南DF中村優斗(3年)が間一髪で弾き返したが、決定的なシーンだった。

武南は「前半の途中から後半にかけて中盤の良い位置で持てる時間が多くなってきた中で、そこから指すボールをどう入れるか」(内野慎一郎監督)といったところで少し攻撃が単発になっているところがあった。そこを解消するべく、後半17分からはMF森田颯(2年)をピッチへ。森田の投入後は中盤に落ち着きが生まれ、武南らしいパスを繋いで崩していくプレーも増えた。

細田学園はDF吉岡陸斗(3年)らがボールホルダーに対してしっかりと寄せながら終盤に入っても粘り強い守備。後半24分には切り札FWジャハンプール・ラミーン(3年)を投入する。すると35分、MF小林京介(3年)のサイドチェンジからディフェンスと入れ替わった五十嵐がクロス。これを金子がダイビングヘッドで狙う。しかしボールはクロスバーを直撃。さらに追撃からラミーンが狙うが、これも再びクロスバーをヒットするなど、決めきることが出来ない。

すると勝負を決める1点を奪ったのは武南だった。後半40分、重信が前線に浮き球のパスを送ると、縦に仕掛けたFW櫻井敬太(3年)は「あそこはもう「絶対に決める!」という気持ちで蹴った」と逆足の左足を一閃。ニアハイのここしかないコースを射抜き、これが決勝点となった。

細田学園は本格強化5年目ながら近年実績を残している勢いのあるチーム。「このレベルに来たら正直、どこが来ても本当に怖いものは怖いですし、ましてや細田さんみたいにグラウンドが出来て、今年100周年で、勢いに乗っているというチームはやっぱり怖かった。チームも良いですし、うまい子も最近入ってきている」と警戒しながら「でもやっぱり武南としては負けられないなというのはあったので、その一心だけです。絶対に勝たないといけない」と自身も武南OBの内野監督はいう。最後に勝負を分けたのは、長年埼玉を牽引してきた古豪としての意地だったか。

一方、今年もベスト8で涙を呑んだ細田学園・上田健爾監督は「その一瞬を埋める、一歩を埋めるというところが、一歩のようで一歩じゃないんだと思う。まだまだトレーニングを工夫して、努力してやっていかないといけない、と今年も痛感させられた。これをちゃんと経験にして、学びにしていかないといけない」と、この経験をしっかりと繋げ、来年度再び8強の壁突破を狙う。

石黒登(取材・文)

細田学園 0-1 武南
0(前半)0
0(後半)1