「証明する大会」、堂々のフィナーレ! 新人戦欠場、主力選手の離脱…、数々の苦境を乗り越え続けた川口西中が初のタイトル/学総県大会決勝

県学校総合大会の決勝が7月30日に行われ、川口西中が終了間際のゴールで1-0と新座第二中を下し、新人戦、学総を含めて県大会初優勝を飾った。

前半から圧力をかけていったのは川口西だった。切り替え早く中盤でセカンドボールを回収し、FW田中悠真(3年)、FW小野寺栄斗(2年)の推進力の高さを生かしてゴールを取りに行く。

一方の新座第二も「相手の真ん中のラインの6枚は本当に良い選手たちだったので、外から、外から最終ラインを超えていって、中の天芝がスリッピーだというところでクロスを上げて、入っていくという形は与野東戦の後から練習していたのでそこを狙わせていった」(髙橋立監督)。

技巧派ボランチの美島薫(3年)らが起点となりながら、チームの生命線であるFW眞下礼(3年)、FW新田陽大(3年)の両ウイングが形を作っていく。また、今大会屈指の守護神の佐藤晴翔(3年)もファインセーブでチームを後ろから鼓舞。後半1分には眞下のクロスから10番MF工藤樹(3年)がゴールに迫ったが、わずかの差で決定機をものにすることが出来ない。

その後は一進一退の攻防となる中で川口西は田中の力強いドリブルなどでゴールに迫るが、「もう少し攻撃のところで技術を生かせる、アイディアを生かせるところが出せると良かったと思うんですけど、プロが使うような特有の難しい、短い芝生に戸惑うところは中学生なので少なからずあった」と横田純一監督がいうように攻撃が単調になる場面もあった。

それでも「0-0の状況が続いていくというのはゲームとして想定しているものだった。その中で後半のクーリングブレークのところで戻ってきた時にも特に問題ないからと。この流れの中で必ずうちが1点取って、あそこにも書きましたけど、『証明する大会のファイナルステージ』だからと。そこを取ってくるのはお前だし、お前だ、と強く送り出しました」。

するとゲームが動いたのは最終盤。アディショナルタイムに入った後半30分、川口西はゴール前でボールを持った田中がダブルタッチを仕掛けてひとり外すと、スピードでもう一枚剥がしてゴールエリア左に侵入。そしてそのまま左足を振り抜きこれが決勝点となった。

「もう本当に嬉しいという言葉で表せないくらい嬉しい。いろいろな想いと、たくさんの人の支えがあって、今日ここに来られている。その想いが、すごく厳しいゲームでしたけど、最後に1点取れて、勝てたということにすべて集約されているのかなと思う。ホッとしていますし、嬉しいですし、選手たちがよく頑張ってくれたと思っています」と横田監督。

もともとこの代はU-13年代でも結果を残した学年であり、自分たちの代のスタートである新人戦でタイトルを、というところは各々が強い気持ちを持っていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で市予選が行うことが出来ず、無念の欠場という形に。それでも「落ち込んでいてもしょうがない」と夏の学総が行われることを信じてこの日を待った。

そして「取り返しに行く大会」「証明する大会」を掲げた今大会も決して順風満帆というわけではなかった。1回戦でFW根石優(3年)が左腕を骨折。アクシデントは続き翌週の高円宮杯予選でDF竹生開(3年)が左足を故障するなど苦境もあった。そういった中でDF石田藍(2年)やFWにコンバートされた小野寺がしっかりと穴を埋めるなどチーム力を見せ、最後は警戒されながらもそこを上回っていったエース田中が決めて初の栄冠に輝いた。

川口市勢の関東大会出場は平成16年度の安行東中、学総での優勝は昭和41年度の神根中以来となる快挙に。その関東大会に向けて、主将の田中は「川口西中の全体で戦っているという一体感はどのチームにも負けない自信がある。関東でも埼玉代表として責任を持って、自信を持って行けると思う。関東をしっかりと制して、全国に繋げていきたい」と意気込みを語った。数々の苦境を乗り越え強くなった選手たちが関東でもチーム一丸勝利を掴む。

石黒登(取材・文)

試合結果

新座第二 0-1 川口西
0(前半)0
0(後半)1

優勝:川口西中

準優勝:新座第二中