FW田中悠真「すごく長かった…」。丸々1年半公式戦なしを乗り越えて、川口西が関東切符掴む/学総県大会準決勝

川口西中は29日に行われた県学校総合体育大会・準決勝で日進中と対戦。田中の今大会8ゴール目とFW小野寺栄斗(2年)の2ゴールで3-1で勝利し、決勝進出&関東大会出場を決めた。

「長かったです」。関東を決めた想いを訊くとFW田中悠真(3年)は開口一番そう口にした。

立ち上がりから激しい攻防となる中で川口西は前半7分、右サイドのMF松本草太(3年)のパスから小野寺がシュートを打つとキーパーに当たってこぼれたところを再度詰めて先制した。

しかし日進中も粘り強く守って反撃へ。そして前半22分、スローインからFW柳沢太郎(3年)が中央にクロスを入れると、スリッピーなピッチでディフェンスがクリアを蹴り損なったところをMF村山優夢(3年)がしっかりと右足を振り抜いて、同点に追いつくことに成功した。

逆に追いつかれた川口西だが、「そこでやっぱり崩れないでやれるところが強さだったり、精神的に成熟してきていると感じる」と横田純一監督。ここで崩れずにもう一度勝ち越し点を奪う。

ゴールを奪ったのはやはりエースの田中だ。前半30分、良いボールから背後に抜け出した田中はディフェンス2人を相手に思い切って仕掛け。「自分としてはゴリゴリ行くというのが長所でもある。DF2人を抜きたかったんですけど、ゴリゴリ行った結果がハンドに繋がったのかなと思います」とハンドでPKを獲得。「PKは練習でもあまり外していないんですけど、公式戦では1回も外したことがない。決める自信しかなかった」と自信を持って右足で決めて前半を終えた。

「こういう公式戦で1-0で勝っていたんですけど、後半に1-1に追いつかれて、延長に入って負けたことがあった。その想いもあって、もうラスト30分は球際、最後の部分までしっかり行こうとみんなで話した。走力とか球際とか、最後の部分での技術とか、そこが鍵になってくるかなと思って、みんなに声をかけて、最後まで行って1点取れたことが大きく繋がった」(田中)

すると追加点はチームとして「口酸っぱく」確認してきたこぼれ球に対する2度追い、3度追いの形から。後半23分、田中のシュートからゴール前で混戦となったところを小野寺がこの日2点目となるゴールを突き刺した。最後は自分たちのリズムでゲームを終えて3-1で勝利した。

「とりあえず勝ってホッとしたんですけど、ここまですごく長かったな・・・という感じです」。

「長かった・・・」というのは中1の「県ユース(U-13)選手権大会」から。この大会、川口西は予選を勝ち上がり、県大会1回戦ではFC Gois U-15を下し、中体連では唯一の8強入りを果たしたが、2回戦でクラブ与野に敗れ涙を呑んだ。そしてその後に新型コロナウイルスが流行し学総が中止に。新人戦は開催されたが、川口市は予選を行うことができず出場できなかった。

「自分たちの悔しさとしてはクラブ与野からだった。その後公式戦が全くなく、2年生もなかった。1年生の冬くらいから自分たちの代では何も出来ていなかったので長かった。去年から関東に行こうと言っていて、去年の分まで戦えて自分たちの目標を達成できたかなと思います」。その横顔からはこれまで耐えてきた苦しさと、それを乗り越えてきた強い意志を感じさせた。

もちろん「まだ満足していない」。これはこれまでの時間を「取り戻す大会」であり、自分たちの力を「証明する大会」。「本当に死に物狂いでやってきたので、最後は嬉し涙を流して関東に繋げて行けたらと思います」。応援してくれたすべての人の想いを背負って最後は嬉し涙で終える。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口西 3-1 日進
2(前半)1
1(後半)0