「一番上に行って証明する大会」。新人戦欠場の無念を乗り越えて、川口西が県の舞台で躍動

選手たちにとっても、チームに関わるすべての人にとっても待ち望んだ一戦だったに違いない。県学校総合体育大会・1回戦、川口西中は新人戦8強の植竹中を3-0で下し初戦突破を飾った。

前半は一進一退の展開に。植竹はFW森居蒼一(2年)に配球しチャンスをうかがう。川口西は前半、相手のハイテンポなサッカーにのまれた部分もあり、苦戦を強いられるところもあったが、後半は「自分たちのやりたいサッカーを生かして、ゆっくりやれたかなと思います」(田中)。

得意とするポゼッションスタイルで流れを掴むと後半12分、ゴール前で前を向いたFW田中悠真(3年)がドリブルで相手ディフェンスを複数枚一気に剥がし、最後は右足で対角隅に突き刺して先制。27分にはMF大森拓真(3年)からのホットラインから田中が今度は左足で決めた。

また、守備でもDF森敦彦(3年)らが球際にしっかりと寄せて気合いのこもったディフェンス。後半34分には途中出場のMF小野寺栄斗(2年)がダメ押しとなる3点目を決めて勝利した。

「去年の学総から中止になってしまって新人戦も出られなかったので、去年の子たちの分、新人戦に出られなかった分まで取り返そうという想いでやってきた。今日は難しいゲームでしたけど、勝ててホッとしています」と横田純一監督は穏やかな表情で選手たちの勇姿を見つめた。

もともとこの代は「県ユース(U-13)選手権大会」で中体連では唯一の県8強入りを果たすなど、力を持っていた代。いざ自分たちの代で頂点へ、という想いは強かった。しかし、新型コロナの感染拡大により、新人戦は最終的に川口市と秩父市のみ予選が行えず、不参加という形に。

正直なところ「なぜ自分たちだけ」という想いがなかったわけではない。懸けていた分だけ難しい時期も過ごした。それでも「落ち込んでいてもしょうがない。だからもうそこまで待とうと。学総があると信じてやってきました」という主将の田中が先頭に立って引っ張りながら、所属する60数名が各々強い想いを持って、ここまで練習に励んできた。その姿を見てきた指揮官は「全体的に気持ちの強い、勝負強い、試合の時には発揮できる集団」と選手たちへの信頼を語る。

この大会は「取り返しに行く大会」「一番上に行って証明する大会」だ。そのためにもひとつひとつ勝ち上がりながら新人戦の借りを返し、そして一番上に立って自分たちの力を証明する。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口西 3-0 植竹
0(前半)0
3(後半)0