全国高等学校総合体育大会 埼玉県予選3回戦 昌平 vs 埼玉平成
全国高校総体・埼玉県予選3回戦。17日はベスト16の8試合が行われ、昌平高校会場でも2試合が行われた。第1試合は連覇を狙う昌平高校と埼玉平成高校が対戦。エースFW佐相壱明の2ゴールを含む3点を奪った昌平が3ー0で勝利し、準々決勝に駒を進めた。
この日も後ろから回しながらリズムを作っていった昌平。ボールを奪われても佐相、MF渋屋航平が積極的にプレスを掛けて前でボールを絡め取っていく。「自分たちがボールを持っていないところでの守備で、攻撃的にいけるという状況は関東大会でもできた部分はある」と昌平・藤島崇之監督。初制覇を飾った関東での経験を生かしながら相手を押し込んだ。
だが攻撃においては「バックパスが多かった。相手の守備ブロックをこじ開けるくらいの強気でいってもいいのかなと思っていた」(藤島監督)。序盤はボールを支配しながらも攻めあぐねる状態が続いた昌平だが、給水タイムあたりからMF髙見勇太のドリブル突破や佐相を使ってのプレーが増えてゴールへの姿勢を強めていくと前半最後の得点につなげた。
髙見のシュートの跳ね返りを佐相が決めた前半36分の場面はオフサイドとなったが、その2分後にこの2人が試合を動かした。前半38分、髙見がドリブルで右サイドをえぐるとエリア深くからマイナスのクロス。「関東大会決勝でもコンビネーションから髙見のゴールをアシストできたので良い感じでやれている」という佐相は、絶妙なトラップで相手ディフェンダーを剥がすとゴール左隅に蹴り込んで今度こそ先制点。エースの一撃で0ー1で試合を折り返す。
後半4分には早々に追加点が生まれた。右サイドバックの塩野碧斗からクロスが入ると、ニアサイドで渋屋がつぶれてボールは佐相の足元へ。実はひとつ前の混戦で「見えていなかった」というが、「太ももに当たって良いトラップができた」と昌平の9番。突然の状況にもうまく相手ディフェンダーを押さえ込みながらゴール左隅に突き刺してこの日2点目を奪った。
一気に畳み掛けたい昌平は後半6分に左サイドをFW飯村真大とのコンビネーションで崩したDF堀江貴大のクロスに、MF古川勇輝が頭で合わせるもこれはポストに当たってゴールとはならず。その2分後にも古川は前に抜け出して積極的にシュートを放っていく。
一方、勝ち抜けには3点が必要になった埼玉平成もここから反撃を開始。後半10分には左からのクロスにFW長峰祐斗がヘディングで狙っていくもこれは昌平GK緑川光希が弾き出す。後半から投入されたFW大河原雄一郎、攻撃の舵をとるMF佐々木旭を中心に一時は押し込んだが、石井を中心とした昌平ディフェンス陣が固い守りを見せてゴールは割らせない。
すると後半30分、前線で駆け引きを続けていた佐相が、DF関根浩平のパスを引き出すとエリア内で倒されてPKを獲得。これを石井がゴール左上角に落ち着いて突き刺してダメを押した。埼玉平成はアディショナルタイムに佐々木がヒールで落として、後半途中出場のFW井上誠が狙っていくもディフェンダーに当たってボールは惜しくもゴール上に。昌平が3ー0で埼玉平成を下し、新人戦、関東大会に続く県タイトル、そして総体連覇に一歩前進した。
この日2得点にPK獲得とすべての得点に絡んだ佐相。無得点に終わった関東本大会を終えて「新人戦の時みたいに初心というか、献身的に走って裏を取る動きを交えながらじゃないと、背負ってからの反転や得意なプレーが生きない。今大会ではそういうプレーを意識している」。本大会での経験で引き出しを広げて、さらに相手にとって怖いフォワードとなった。
また、2点目をアシストした塩野は「まだ万全な状態ではない」としながらも「そこそこやれるようにはなってきたかな」。昨年末から肉離れや足首の故障を繰り返し「6ヶ月くらいまともにプレーできなかった」というが、藤島監督も「昨年から試合に出ているので信頼している。間違いなく計算できる選手」と絶大な信頼を置く。最大の持ち味は80分間走り続けられる体力とサイドを駆け上がってのチャンスメイク。昌平にとって頼れる男が帰ってきた。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 3-0 埼玉平成
1(前半)0
2(後半)0