関東B・北信越MF田中和樹(浦和学院高出身)が決勝点。オフのキャンプ参加で意識が変化。「自分の殻」を破りさらなるブレークスルーを狙う【デンソーカップチャレンジサッカー】

1-1で迎えた前半23分。左でMFシマブク・カズヨシ(新潟医療福祉大3年)がボールを持つと逆サイドのMF田中和樹(法政大3年)は「カズがボールを持った時に良いボールが来るというのはわかっていた。自分は信じて走って予想通り良いボールが来てくれたので、決めるだけという感じでした」。ボールを受けると思い切りよく右足を振り抜き、これが決勝点になった。

それでも今大会は1得点。「もうちょっとゴールとかアシストというところで結果にこだわってできたら良かったんですけど」と結果の部分ではやや不完全燃焼としたが、関東B・北信越選抜監督で、法政大でも指導を受ける長山一也監督のサッカーを体現するべく同大のMF松井蓮之(2022年川崎フロンターレ内定)やFW佐藤大樹とともにそれをチームに伝える役割を担い、普段から求められているという連続した守備やスペースの抜け出しなど光るプレーを見せた。

田中はその爆発的なスピードを武器に浦和学院高時代にFC東京の2種登録を受け、実際にJ3でもプレー。大学は法政大に進学したが、当時は「身体能力に頼りがちな部分もあった」と長山監督はいう。そういった中で大学での3年間を経て「守備のところでも考えてプレーするようになってきた。スペースをどうやって使うか、スピードを生かすというところも含めて考えながらできるようになった。また、もともとコミュニケーション能力はあまり高くなかった中で選抜の場でも要求やチームの雰囲気を作るというところもできるようになってきた」と指揮官は話す。

本人も特に「コミュニケーション」のところは今年のテーマに挙げている。「いままでは結構自分の性格というか、殻にこもってとか、内気な感じもあったんですけど、今年からは変わるという意味でコミュニケーションとか、発信する力というのを自分で意識するようにはしています」。

そう思うきっかけとなったのが、今オフに参加したキャンプで出会った京都サンガF.C.のDF森脇良太の存在だ。「やっぱり盛り上げるところとか、チームの雰囲気を良くするというところでは、言葉を発するだけでもうガラッと変えてしまうのはすごいなと思いました」とコミュニケーションの大切さや精神的支柱の存在の大きさというのを知り、「自分もそういう存在になりたいと思いました」。現在はアップから「盛り上げる声」というのを意識的に取り組んでいるという。

練習参加でも通用する部分もあった中で「まだまだだなというところも多く感じた。精神面が結構大きいなと思った。精神面から変えていけば自ずとプレー面も良くなっていくというのは思いました」。今年の目標は「チームの要となること」と「関東リーグ得点王」。もとより能力値は高い選手なだけに、精神面が成長を遂げれば今年一気に飛躍の1年とする可能性も十分にある。

石黒登(取材・文)