第99回全国高校サッカー選手権大会3回戦 昌平 vs 創成館
昌平が2年連続のベスト8へ。今大会ブレイク候補MF荒井悠汰が流れを呼び込む先制点。自慢のフィジカルは「誰にも負けたくない」
今大会ブレイク候補のひとり、MF荒井悠汰が全国の舞台で堂々の初ゴールでチームを乗せた。
昨日の2回戦・京都橘戦ではカットインからシュートというイメージも持っていた中で、エリア前のラストの勝負所でパスを選択してしまうシーンもあり、「今日なんかは特にあそこからいかにゴールを目指せるか」というところを試合前に藤島崇之監督からも話をされていたという。
そういった中で迎えた前半17分、右サイドでボールを受けた荒井はそこから一気に加速しながら内に切り込むと左足を一閃。するとシュートは綺麗な弧を描きながらネットに吸い込まれた。
サイドからカットインして左足というのは「中学校から結構得点を決めていた」という得意パターンで練習でも常にあのコースを狙っていたという。「まさかあんな綺麗に入るとは思っていなかったんですけど」というが、「でもボールを蹴った瞬間に入ったと思った。あの形は良かったかなと思います」と蹴った瞬間にゴールを確信するほど完璧なキックで先制点をもたらした。
このゴールを機に昌平は前半38分にFW小見洋太のスルーパスからMF須藤直輝が抜け出してワンタッチでゴール、さらにアディショナルタイムにはコーナーキックのこぼれ球をMF小川優介が右足ダイレクトで突き刺すなど前半で3得点。後半は相手が持ち返してきたこともあり追加点を奪うことはできなかったが、荒井のゴールがチームを乗せた部分も多くあるだろう。
荒井も「予選から得点がなかったので、全国大会で点を決めるというところは本当に目標を持ってやっていた。こうやって得点を決めることができて非常に嬉しく思います」と喜んでいた。
スタメンで唯一の1年生は昨年、下部組織のFC LAVIDAでクラブユース選手権全国8強入り。この代のLAVIDAはU-15日本代表のMF佐藤海空斗や今大会1回戦でその後の逆転に繋がる追撃弾を奪ったMF篠田翼など有望選手が多かった中でLAVIDA監督で昌平高でも育成に携わる村松明人コーチ、そして藤島監督が「最初に結果を出しそう」と話していたのが荒井だった。
その期待に違わず入学早々にトップチーム入りを掴むと、8月の招待カップなどを経て9月のプリンスリーグ関東開幕戦では堂々スタメンに。翌月から始まった県予選でも1年生というのを忘れるくらい落ち着いたプレーでチームの2年連続4度目の選手権出場に大きく貢献した。
「技術的な部分もしっかりしているところはありますけども、やはりフィジカルコンタクトの強さは1年生と思えないくらい。身体をぶつけても、それでも相手を利用できる、それくらいの力強さとスキルを持ち合わせている選手」と監督。本人も『フィジカル』の部分にはこだわりを持っており、「フィジカル面では1年生というのは関係なく、誰にも負けたくないという気持ちがある」。ここまで3試合を戦って「本当にひとつひとつ難しい」と全国の舞台の難しさも感じているというが、同時に「全国大会でもぶつかっても負けていないので、そういうのは自信はついてきています」と全国の猛者たちを相手にしても自慢のフィジカルは通用すると感じている。
次戦は昌平として初の選手権ベスト4入りがかかる準々決勝。相手はプリンスリーグでも対戦経験のある山梨学院となった。中学時代の挑戦は8強で終わったが、夢の続きは今年かなえる。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 3-0 創成館
3(前半)0
0(後半)0