令和2年度新人体育大会準決勝 南浦和 vs 尾間木

令和2年度新人体育大会・準決勝。中体連版さいたまダービーは南浦和中に軍配が上がった。

序盤は尾間木が勢いを持って攻め込んだ中で南浦和は前半8分、敵陣でMF升掛壮梧がボールを奪うと前線にスルーパス。これに抜け出したMF畑乙樹がゴール右隅に流し込んで先制した。

その後も南浦和は升掛が予測の良さを発揮してボールを回収し、3回戦からさらに動きが整理された畑が縦へのスピードや少ないタッチ回数で攻撃を展開する。28分には畑のスルーパスからFW坂本勇希が抜けだし。シュートはキーパーに弾かれたが、前半は南浦和リードで終了した。

一方、1点を追う尾間木も後半立ち上がりから再び猛攻を仕掛けると、13分には右クロスからDF山岸慧が狙ったシュートがポストを強襲。さらにFW中島輝羅もミドルを放っていく。

それでもここを凌ぐと南浦和は後半21分、MF関賢人のクロスを攻撃の起点となった升掛が身体を捻りながらバックヘッドで折り返し。これを坂本がヘディングで押し込んだ。後半は相手に押し込まれる展開もあった中でしっかりと耐え、さらに1点を加えた南浦和が2-0で勝利した。

「選手には準々決勝までだいぶ厳しいことを言ってきたんですけど、それはここを越えるため。このゲームでは一切言わないから自分たちで頑張って、気持ちよくやれと伝えました」と南浦和・神立朋次監督。そういった中で選手はピッチ内のアイディアで尾間木に対抗。最後は升掛、畑という2人の「決め手」が勝負を分けた。清野大輔コーチも「今大会のベストゲーム」とした。

決勝に向け選手が戻ってきているのも好材料。左鎖骨の骨折で市大会は欠場した主将のDF大塚宥はこの試合で復帰後初めてフル出場し「意外とできた。今回は声を出すことを意識したらプレーもだんだんできるようになってきた」と手応え。こちらも怪我で市大会は本調子ではなかったDF石川知英とともに相手の前2枚にマンツーマンでついて決定的な仕事はさせなかった。

新人戦では平成18、19年大会を制した埼玉栄(平成18年はさいたま木崎中との両校優勝)以来連覇を果たしたチームは出ていないが、13年ぶりの「連覇」に向けて調子は上がっている。

準々決勝では劇的決勝弾も チーム得点王FW坂本勇希が4戦連発となる大会7ゴール目

準決勝でも背番号11は一番ゴールに近い位置にいた。南浦和FW坂本勇希は後半21分、MF関賢人からMF升掛壮梧にクロスが入ると折り返しを要求。リターンをゴールに運んだ。先制後はなかなか得点に結びついてはいなかった中で、この1点が尾間木の心を折る1点となった。

準々決勝の土合中戦では後半終了間際に咄嗟の機転で「肩」で決めて劇的勝利の立役者に。今大会は初戦となった2回戦・川越西戦で4ゴールを奪い波に乗ると、3回戦の深谷岡部戦、そしてこの日の土合戦、尾間木戦でも1ゴールずつを記録して4戦連発となる大会7ゴール。「市大会では自分も調子が悪くて点があまり取れなかった。県大会で挽回してやろうと思って練習してきたのがスコアという形で出せている」と、練習での成果を今大会遺憾なく発揮している。

チームでは升掛、MF畑乙樹が注目を浴びるが、坂本もそれに負けないユニークなサッカーセンスの持ち主で「ドリブルやキープは結構練習しているので自信はあります」。また、身長155cmと小さいFWは「動き回って相手のディフェンスを外すプレー」も意識。スピードという特徴のある畑と入れ替わりながらゴール前に絡んでいく「左」は、南浦和の大きな武器となっている。

3年生の代のFW髙橋伸太朗とはまったく違った特徴を持つが、先輩から教わったことは多かったという。「放課後のシュート練習を一緒にやったり、1対1の時に縦に抜く技術も教えてもらって、そこは意識してやっています」。また、食事面についても学んだそうで「納豆ご飯を食べた方が良いと教わったので毎日食べています」というように身体に対する意識も変わった。

決勝は市大会で敗れた埼玉栄との対戦に。「埼玉栄は全員が一体となって攻撃も守備もできるチーム。そこで守備を頑張って埼玉スタジアムで勝ちたいです」。その上で「2点くらい決めたいです」と5試合連続ゴールに意欲を燃やした。

石黒登(取材・文)

試合結果

さいたま南浦和 2-0 さいたま尾間木
1(前半)0
1(後半)0