第60回 関東サッカー大会 昌平 vs 日本体育大学柏

関東高等学校サッカー大会が3日、埼玉県を舞台に開幕した。

埼玉県予選1位の昌平高校は埼玉スタジアム2002第3グランドで行われたAグループ1回戦で日本体育大学柏高校(千葉)と対戦。後半アディショナルタイムを迎えて1ー2とされていた昌平だが、終了間際にDF関根浩平がヘディングで同点弾をたたき込むと、延長後半3分に再び関根が頭で突き刺し、3ー2の逆転で準決勝進出を決めた。

「柏日体は本当に強かった。今年のチームでこんなに(相手に)ボールを動かされたのはあまりなかった」と藤島崇之監督。前半は序盤から強度高くくる日本体育大学柏に対し苦戦を強いられた。昌平は生命線であるMF山下勇希、MF古川勇輝のボランチコンビが封じられ、なかなか前にボールを運ぶことができずに逆に相手につながれる展開となる。

それでも主将のDF石井優輝、関根を中心とした守備で跳ね返し続けた昌平。前半14分にはDF堀江貴大がポスト直撃のシュートを放つなど徐々にチャンスを作っていくが、給水タイム明けの24分に関根がPKを与えるとこれを決められ先制点を許してしまう。

35分過ぎにはFW佐相壱明のキープから古川がシュート、さらに石井のフィードから佐相が抜け出しを狙うも、前半は1点ビハインドで折り返すこととなった。

後半は「プレッシングの部分を修正、明確化した」(藤島監督)ことでセカンドボールへの対応が好転。攻撃においても中盤を飛ばしてトップの佐相を起点に展開していく。

後半14分に一瞬の隙を突かれて追加点を許したが、直後に逆転劇の口火を切る待望の1点が生まれた。前半18分、後方からのフィードを佐相が収めると、ドリブルからMF髙見勇太にパス。髙見のシュートのこぼれ球に古川がヘディングで詰めた。予選ではスーパーサブとしてチームの優勝に貢献した古川はリーグ戦で好調を維持してスタメンを奪取。直前の交代でポジションを変えたばかりだったが、サイドで見事に結果を残してみせた。

後半25分には佐相がチャンスを迎えるも相手GKに阻まれてゴールとはならず。時間だけが刻一刻と流れる中でついに時計の針はアディショナルタイムに突入する。

ここからの展開を誰が予想できただろうか。同点弾は残り1分を越えた後半43分。起点となったのは佐相だ。前半から献身的なプレーを続ける中で体力は限界を迎えていてもおかしくなかったが、「テンションが高かったからですかね。今日は全然いけました」と昌平のエース。エリア左すぐ外でつぶされてフリーキックを獲得する。キッカーは後半途中出場のMF原田虹輝。ふわりと上がったキックをMF渋屋航平がタッチラインぎりぎりでヘディングで折り返すと、これをニアで待っていた関根が頭で叩き込んだ。終了間際の劇的ゴールに大きなガッツポーズを見せた関根。土壇場の同点弾で勝負の行方は延長戦にもつれ込んだ。

延長戦も昌平が勢いそのままに攻撃を展開。そして迎えた延長後半3分に勝ち越しゴールが生まれた。右コーナーキックを獲得すると、原田のキックに再び関根がヘディングで突き刺した。「自分がPKを与えたというのもあって、取り返さないといけないと思っていた。セットプレーは絶対に点を取るという気持ちでいました」(関根)。

貴重な勝ち越し弾を奪い、2度目のガッツポーズを握った。普段は「冷静に、淡々とプレーするタイプ」(藤島監督)だが、「関東大会ですし、地元の埼玉開催だったので、やはり負けられないという気持ちがあった。気合は入っていました」と関根。これが決勝点となり3ー2の劇的逆転で昌平高校が関東大会Aグループ初勝利を挙げた。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 3-2 日本体育大学柏
0(前半)1
2(後半)1
0(延前)0
1(延後)0