第99回 全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県大会 一次予選ブロック決定戦 上尾 vs 志木
選手権1次予選代表決定戦。P組は延長戦の末に上尾が志木を下し、2次予選行きを決めた。
序盤からボールを握ったのは上尾だ。開始早々にFW髙橋圭和が負傷退場と難しいスタートとなった中でキープ力のあるFW細矢晃一郎にボールを預けつつ相手コートに押し込む。また、髙橋に代わって入った2年生MF高石真爽も迫力のあるドリブル突破でアクセントを加えた。
一方、志木もキャプテンのDF鈴木尚哉やMF増子貫太を中心に高いボール奪取力を披露。特に前半は攻め込まれる時間が長い中、ゴール前の大事なエリアではフリーキックは与えなかった。
後半も上尾がチャンスを作る中で、志木が粘り強い守備で対抗する形でゲームは展開する。30分には高石が自らのこぼれ球をダイレクトで狙ったシュートが枠を捉えたが、ここは志木DF佐賀亮介がライン上でクリアしてゴールは割らせず。試合は延長戦にもつれ込むこととなった。
そういった中で均衡が崩れたのは延長前半8分。上尾は好突破を見せていた高石が左サイドからエリア内に仕掛けるとディフェンスに当たったこぼれ球が細矢のもとへ。10番はこれにダイレクト右足を振りぬいてネットを揺らし、決勝点。1-0で勝利した上尾が県大会切符を掴んだ。
今年のチームは新人戦南部支部予選で伊奈学園に勝利。「その辺から自信を持って、強い相手にもちゃんとやることをやれば勝てるんだというような感覚を持っているのかなと思います」。自分たちのことを信じることができているのが良い雰囲気に繋がっていると塚田智宏監督は話す。
教員人生でも初となる2次予選、そして現在の3年生を担任していることもあり思い入れは強いという指揮官は「3年生にとっては最後の試合。1試合でも多く勝たせたい」と語った。
FW細矢晃一郎が延長戦で決勝点。今予選は10番をつけてチームの全得点を奪取
最後はやはり「10番」が勝負を決めた。
なかなか得点が奪えなかった中で延長前半8分、MF高石真爽が左サイドから仕掛けるとこぼれ球がゴール前へ。「(高石が)ゴール前でキープしてくれたというのがやっぱり大きかった。(こぼれてくる予感は)多少ありました」。これにうまく抜け出した10番のFW細矢晃一郎が冷静に右足を振りぬいて決勝点。「最近、上高自体が県大会に行けていないというのもあって、今年の代で県大に行けたというのは良かった。(ゴールは)素直に嬉しかったです」と喜びを語った。
チームでは最後の選手権を迎えるにあたり「誰が10番をつけるか」で議論があったという。キーパーが怪我した場合、PKキーパーを務める可能性もあり21番をつけていたこともあるなど、普段はあまり背番号には関心は示してこなかったという細矢だが、「最後なのでやっぱり(10番を)つけたい気持ちは多少ありました」と立候補。もともとその番号をつけていたCBでキャプテンの佐藤郁との決選投票を行った末にエースナンバーをつけることになった経緯がある。
そういった中で今予選は10番をつけて2回戦・所沢北戦の2ゴールを含む3得点とチームの全得点を奪取。10番として、FWとして「やっぱり仕事は点を取ること」と大役に結果で応えた。
この日は相手からの警戒も受ける中でなかなか調子が上がらなかったが、「あいつを変えるつもりはありませんでした」と塚田智宏監督。「淡々とやるんですけど、最後は絶対に仕留める。さぼっているように見えて、いざというときにズバッと、スピードとパワーとコントロールでやってくれる」と絶大な信頼を置かれる上尾のエースは「(2次予選)1回戦に向けて調整して、チームの士気を上げていきたい。(ゴールも)取れたら取りたいと思います」と意気込みを語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
上尾 1-0 志木
0(前半)0
0(後半)0
1(延前)0
0(延後)0