第21回飯能サマーカップ決勝 聖望学園 vs 飯能南
4日間にわたって開催された今年の「飯能サマーカップ」の決勝が5日に聖望学園で行われ、聖望学園が7−0で飯能南を下し、3年ぶりの優勝を飾って大会は幕を閉じた。
序盤から攻め込みながらも相手キーパーの攻守などもあり、なかなか得点に結びつけることができなかった聖望学園だが、前半30分にMF黒田龍が勢いのあるドルブル突破でエリア右から侵入を図ると、マイナスのパスをFW遠藤基意がきっちりと決めて先制。さらにアディショナルタイムにはFW廣嶋楓汰が抜け出してリードを2点と広げて前半を終えた。
迎えた後半は聖望学園のゴールラッシュに。遠藤はさらに2得点を積み上げてハットトリックを達成。10番のFW矢島翔にもゴールが生まれた。また、途中出場組ではFW大野安詩が活躍。25分にFW牧野恵哉のクロスをジャンプ一番打点の高いヘディングでゴールに運ぶと、36分には強烈な左足のシュートをゴール上方に突き刺して7−0とし、勝負を決めた。
グループリーグの山場となった浦和東戦は前半に先制するも、その後も攻め込む展開とした中で最後のフィニッシュの部分で精度を欠くなど上手くゲームを締めることができず。1−0で勝利したものの、課題が残った。それだけに聖望学園・山本昌輝監督は「この4日間を通して最後が一番良かった。結果も内容的にも少しずつ質が上がってきている」と評価した。
また、同会場で行われた3位決定戦では入間向陽が東野を3ー1で下した。
MOMはハットトリックの遠藤基意。今年の新主将は得点で姿でチームを引っ張る
MOMには決勝の舞台でハットトリックを達成したFW遠藤基意が選ばれた。
決勝は相手キーパーの攻守もあり、なかなかゴールが割れなかった中で30分、FW廣嶋楓汰のマイナスのクロスを冷静に決めて大量点の口火を切った。後半14分には再び廣嶋からのグラウンダーのクロスに「タイミングよく、しっかりキーパーを見ながら滑り込むことができた」とニアで合わせて追加点。17分にはシュートのこぼれに反応して3得点目とした。
「ハットトリックは正直嬉しい部分はありますけど、ここからレベルも上がっていって難しい試合になった時に勝負を決められる選手になりたい。まだ足りない部分はあると思います」。
今大会は予選から全試合で得点しているものの、決勝までは複数得点はなかっただけに「まだできる」という感覚は誰よりも強いかもしれない。それでも山本昌輝監督が「最後の質については少しは解消の芽が見えた。遠藤が3点取れたというのも良かったと思います」と語るようにこれが覚醒のきっかけになれば面白い。遠藤本人も「もっと質を高めなければいけないシーンはいっぱいあるんですけど、でもそんなにナーバスになりすぎることなく、自分たちがやりたいサッカーをしっかりと見据えてそこに進めればいいかなと思っています」と前向きだ。
今年は主将も務める。「去年は(石川)祐希さんというキャプテンがいて、すごいキャプテンシーを持った選手もいろいろいて、そういう選手から学ぶことが多かった。自分はあまりキャプテン感を出す感じではないですが、こういう結果や、行くところを激しく行ったり、そういったプレーで引っ張れればと思っています」と得点や姿でチームを牽引していく構えだ。
残すは選手権のみとなったが、もちろん目指すところは県の頂点。昨年はインターハイ予選で準優勝しているが、過信や慢心はない。「自分たちは決して強いチームではない。でも弱いチームなりの戦い方をするつもりもない。やっぱり自分たちの目指すサッカーをしながらタイトルを取りに行く」と遠藤。自分たちの現在地をしっかりと見極めながら、魅惑的なサッカーを展開して勝利を収める。そこを追い求めながら今冬は聖望学園初の県No.1を取りに行く。
石黒登(取材・文)