令和元年度 北部支部 新人大会決勝 成徳深谷 vs 早大本庄

令和元年度北部支部新人大会・決勝(2日、埼玉工業大学会場)。成徳深谷と早大本庄のファイナルはS1リーグ所属の力を見せた成徳深谷が3ー0で勝利を収め、北部支部制覇を飾った。

成徳深谷は開始からハイプレスを仕掛け、奪われても切り替えの速さですぐに回収して相手のビルドアップの時間を許さず。前半7分、FW白岩祐志がエリア左深くを抉り、クロスをDF立石康太がシュート。これはキーパーに弾かれたが、こぼれ球をMF松本健人が決めて先制した。

その後も成徳深谷が押し込んで進める中で、早大本庄もプレスに慣れた前半25分過ぎあたりから後ろでしっかりと繋ぎながら前に出るシーンを増やしていく。最大のチャンスは38分。MF中山祐貴がドリブルで持ち出し、スルーパスに裏への抜け出しを得意とするFW双木駿が反応。キーパーと1対1を迎えたが、右足のシュートは惜しくも枠を捉えることができなかった。

すると後半に入り成徳深谷はもう一度ギアアップ。再び相手を押し込み、20分に立石のコーナーキックを先制点の起点になった白岩が頭で合わせて追加点。さらにその2分後には立石のフリーキックからDF松本達矢がヘディングで突き刺して勝負を決めた。後半は十八番のセットプレーから2点を加えた成徳深谷が3ー0で勝利し、S1リーグ所属の力を見せる結果となった。

今年のチームの柱のひとり。成徳深谷主将・立石は良い意味で「楽しみながら」引っ張る

「今年はエースみたいなのはいないし、全員で頑張って取るしかない」と成徳深谷・為谷洋介監督。トップの白岩、左サイドの斎藤龍也と面白そうな存在はいる中で、一昨年、昨年とチームの中核を担った北原港や間中実来のように個で攻略、打開できる選手はまだいないという。

それだけに今年は「全員で」というところをテーマに掲げる。そしてその上で「チームとして柱になるのはキーパーと右サイドバック」だと指揮官はいう。昨年からメンバーに入っている右サイドバックの立石康太とゴールキーパーの星野颯汰。今年はそれぞれキャプテンと副キャプテンを務める。監督と選手を繋ぐパイプにもなっている2人は今年のチームのキーマンだ。

立石も今年について「去年の個はない」とした上で「でも自分たちはチーム力があると思う」。「自分たちはひとつになったら強いと思う。ひとりひとりが同じ方向を向いて、全員で勝つイメージを持ちながらやればいける」。その同じの方向に導く役割を担うSBは「自分もまだまだ未熟ですし、やるべきことも、やらないといけないこともいっぱいありますけど、そこをひとつひとつこなして成長できたらと思います」とチームと一緒に成長していくことを誓う。

「自分も去年いろいろな経験をして、一昨年も経験して、いままでの経験もある中で今年は高校最後の年」。その経験値をチームに還元する役目もあるが、同時に「楽しんで引っ張っていけたらと思います」。そこは肩肘を張らずに良い意味で「楽しみながら」やっていく構えだ。

ちなみに後半の2点は立石が演出。チームの武器であるセットプレーでもその右足のキックは欠かせない。プレーに精神面にチームを支える新キャプテンが今年の成徳深谷を引っ張る。

「自分たちの形」作るも力の差。佐藤主将「問題点を修正して万全の状態で県大会に挑む」

早大本庄は立ち上がり、固さもあった中で25分過ぎあたりからは相手のプレスをいなしながらボールを繋いで展開。終盤にはゴールキーパーとの1対1の場面も作ったが、後半はなかなか点を取りにいくことができず、「S1の成徳との力の差を感じました」とDF佐藤大樹主将。

「やっぱり成徳のフィジカルとか走り込みの凄さというか、後半になってもプレスが落ちないみたいな、そういうところでなかなか自分たちのプレーをできなかったのかなと思います」。走力に関しては自分たちも自信があった中で「成徳と比べたらそれが劣っていた」とした。

「県大会ではこのレベルが1回戦になる。この1週間で今日の問題点を修正して、次の試合に万全の状態で挑んで勝ちたい。やっぱり力のある相手だと守備の中でもひとりでは勝てなかったので、2対1の状況を作るであるとか、チャレンジ&カバーをしっかりと徹底して、ひとりではできないようなところでもみんなで行ってガッと取るみたいな、そういう守備ができたらいいと思います」と佐藤。この日感じた課題を生かして、強豪揃いの県大会で勝利を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

成徳深谷 3-0 早大本庄