高校サッカー関東大会 埼玉県予選 正智深谷 vs 昌平

4月30日(日)、関東大会・埼玉県予選決勝が浦和駒場スタジアムにて行われ、連覇を狙う正智深谷高校と新人大会覇者の昌平高校が対戦。1点を争う展開となる中、後半28分にFW飯村真大が決めた得点が決勝点となり、1ー0で昌平が新人戦に続いて県内2冠目を達成した。

2月の新人戦に続いて決勝で会い見えた両雄。昨年の関東大会予選決勝では正智深谷が1ー0で勝利していたが、今年は「5冠」達成に燃える昌平が雪辱を果たした。

開始からボールを持ったのは昌平だった。しかし中盤を締めてきた正智深谷の守備に対しボールをつなげず。今予選6得点のFW佐相壱明や両サイドバックの起点も封じられ、なかなか前線でいつものようなポゼッションサッカーを展開することができない。

逆に正智深谷は前半15分過ぎからボールを持ち始めると、前線のMF海老塚宝良を起点に徐々に昌平を押し込み始める。35分には右サイドの展開からこぼれ球をDF福井康太がシュート。決定的な場面だったが、これは昌平の守護神・緑川光希がセーブしてゴールを許さず。前半は昌平の「0」に対し正智深谷はシュート「4」と昨年覇者がペースを握った。

後半も正智深谷の守備を前に崩しの形を作れない昌平。それでもDF石井優輝、DF関根浩平ら守備陣が焦れずに跳ね返し続けると、たった一本のチャンスを結果に結びつけた。

試合が動いたのは後半28分。後半途中出場のMF古川勇輝がゴール前でこぼれ球を拾うと「シュートも考えたが、(飯村)真大君が左でフリーになっているのが見えた」とパスを選択。これを「あの角度、形は得意」という飯村がダイレクトで合わせた。準々決勝・浦和南高校戦での活躍が認められ、スタメン奪取した3年生FWが昌平に先制点をもたらした。

これが決勝点となり昌平が1ー0で勝利。昨年のリベンジを果たすとともに、新人戦に続く県内2冠目を達成し、目標とする5冠にまたひとつ前進した。

昨年も5冠を目指していたが関東予選でその夢は絶たれた。「このまま5冠を目指せるというのがいまはすごく嬉しい」と主将の石井。その一方で「今日は対人やヘディング、球際で負けていたところがあった。関東ではそういうところで負けていると勝てない。そこは修正していきたい」と6月の本大会に向けて早くも気を引き締めた。

準決勝後には「層の厚さは昨年以上」と藤島崇之監督が話していたが、今大会では改めてそれを感じさせられた。決勝点の飯村をはじめ、準々決勝、準決勝でゴール、決勝ではアシストと少ない出場時間で結果を残したスーパーサブの古川、新人戦では出場のなかった右サイドのMF高見勇太も存在感を示した。その新人戦でスタメンだったDF河合友也、MF伊藤雄教、怪我で離脱中のDF塩野碧斗といった選手も控えている。

チームで紅白戦をしてもどちらが勝つかは最後までわからないという。「いつ試合に出ても流れを変えられる選手やいい選手が多いのでそこは自分たちの持ち味」(山下)、「誰が出ても同じくらいのパフォーマンスが出せる」(飯村)のが今年の強みだ。

今年の関東大会は埼玉開催。「去年はどれだけ頑張っても関東3位にしかなれなかったので、今年こそ全部勝って優勝というところを狙っていきたい」と石井主将。

強豪ぞろいのAグループでも昌平らしい主導権を握るサッカーをつらぬいて優勝を狙う。

また敗れた正智深谷も最後まで昌平を追い込んだ好チーム。主将でエースのFW梶谷政仁も復帰間近ということで6月の本大会では大暴れを期待したい。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 1-0 正智深谷

0(前半)0
1(後半)0