高校サッカー関東大会 埼玉県予選 昌平 vs 浦和西

関東大会・埼玉県予選は29日(土)、埼玉スタジアム2002第2グラウンドにて準決勝2試合が実施。昌平高校と浦和西高校の一戦は0ー0で迎えた後半に大量5得点を奪った昌平が浦和西の反撃を1点に抑え、2年連続の関東大会出場を決めるとともに決勝進出を果たした。

この日も序盤から攻め込んだ昌平は前半7分にMF高見勇太、8分にMF原田虹輝がチャンスを迎える。14分には相手守備陣のパスミスを拾ったFW飯村真大が、16分にはMF山下勇希のスルーパスにFW佐相壱明が抜け出すも、しかしここは浦和西GK斉藤大伽が好反応を見せてシャットアップ。ゴールに鍵をかけて得点を許さない。

その後も昌平は「素早く叩いて循環良くやろうと思っていた」という山下を起点としたポゼッションで圧倒。しかし浦和西もディフェンス陣が集中力高くこれを跳ね返し続けると、機を見てMF遠藤寛紀ら攻撃陣が速攻を仕掛けるなど、前半は0ー0のまま折り返すこととなった。

前半はシュート12本を放ちながら得点0に終わった昌平。ハーフタイムには「もっと仕掛けろ」と藤島崇之監督からゲキが飛んだ。すると後半は準々決勝・浦和南高校戦で9ー0と大勝した新人戦覇者が自慢の攻撃力を発揮した。

口火を切ったのはMF渋屋航平だ。前半1分、細かいパス回しからエリア付近でボールを受けると、守備陣のわずかな間をつくミドルシュートで昌平に待望の先制点をもたらした。「ここ最近はずっと点を取れていなかった。嬉しすぎてゴールシーンはよく覚えていない」と渋屋。昨年昌平を高校総体ベスト4に導いたMF松本泰志を「憧れ」と話し、今年からその10番を受け継いだ男の先制弾が昌平に一気に流れを呼び込む。

後半8分には追加点。DF吉田航の浮き玉のパスを相手DFを背負いながら受けたFW佐相が、鋭い反転から振り抜いて今予選6点目。その2分後には山下が持ち込んで高見がつないだボールを、吉田が決めて開始10分でリードを3点とした。

また途中出場組も結果を残した。後半30分にはMF古川勇輝がゴール。32分には古川のアシストからMF伊藤雄教が5点目を決めてダメを押した。

浦和西も後半ロスタイムにDF福世航大が一矢報いるも反撃もここまで。前半0ー0で推移したゲームは5ー1という予想外のスコアで幕を閉じた。

「1点目があれば次につながるかなと思っていた。あの時間に取れたというのは良かったと思う」と藤島監督。山下も「前半はミスもあったが、続けていけばチャンスはあると思っていた。後半は立ち上がりからいこうと話をしていて早々に入ったので、そこから自分たちのペースで畳み掛けられた。あの1点は大きかった」と試合を振り返った。

一方、浦和西・市原雄心監督は「あれだけ言っていたのにいきなり1分にやられてしまった。そこから連続失点。勝ち上がれないチームのパターンにはまってしまった」。前半は「0」で抑えていただけに立ち上がりの失点を悔やんだ。

それでもロスタイムには意地の1点。「あそこで1点を取れたというのは絶対に次につながる。インターハイやリーグ戦に向けてチームが成熟するチャンスにしていきたい」と指揮官。26年ぶりの準決勝進出、選手たちにとっては何もかもが初めてという中でこの経験は大きかったはずだ。これを糧に総体予選ではさらなる躍進を期待したい。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 5-1 浦和西

0(前半)0
5(後半)1