高校サッカー関東大会 埼玉県予選 浦和西 vs 埼玉栄
22日(土)、関東大会・埼玉県予選準々決勝が行われ、西武台高校グラウンド第1試合は浦和西高校と埼玉栄高校が激突。前半をスコアレスで終える中、後半に3点を奪った浦和西が1失点こそしたものの3ー1で埼玉栄を下し、準決勝進出を決めた。
「疲れたよね……」。試合後、浦和西・市原雄心監督が開口一番に語った言葉がこの一戦のタフさを象徴していた。
1月の新人大会南部支部予選・準決勝以来の対戦となった両雄。その際は前半に埼玉栄が2点を先行しながら、後半に浦和西が同点に追いつき、PK戦の末、浦和西が勝利していた。そしてこの一戦も同様に息の詰まるような戦いとなった。
浦和西はファーストシュートをいきなりクロスバーに直撃させるも、その後は埼玉栄に押し込まれる展開が続く。それでも「埼玉栄は入りが良いだけに、後半は落ちると踏んでいた。前半は0ー0でいければいいと思っていた」と市原監督。新人大会の後から粘りが出てきたという守備陣が最後の部分で身体を張って耐えて、プラン通り失点0で前半を終える。
すると後半5分に浦和西に先制点。「相手がボールウォッチャーになりやすいと聞いていたので、それを狙って蹴った」とDF重信圭佑。前線にロングフィードを送るとMF唐牛七海がこれを一度収めてから落ち着いて流し込んだ。
ここからゲームは一気に加速していく。1点を争う展開の中で次の得点を挙げたのも浦和西だった。後半30分、相手のセットプレーをしのぐと、素早い切り替えからロングカウンターを繰り出す。「前を見て2対2だというのがわかった」とFW森喜紀。1人交わしてのクロスを送ると、後半途中投入のMF楮本颯が冷静にこれを沈めて2ー0とした。
しかし埼玉栄も後半32分、エリア前に一瞬空いたスペースを見逃さずにMF石橋彪のパスからMF塚目海渡が突き刺して再び1点差。どちらに転ぶかわからない展開となるが、直後の1点で浦和西がその反撃ムードを打ち消した。
後半34分、カウンターから楮本が右サイドを駆け上がると、ラストパスは若干ずれたものの、MF加藤淳志が決めて勝負あり。3ー1で浦和西が準決勝に駒を進めることとなった。
浦和西にとってベスト4進出は1996年以来26年ぶり。あと1つ勝って決勝進出となれば、現在JFA技術委員長を務める西野朗氏らを擁した73年大会以来の関東大会出場が決まる。
今年の関東大会は地元・埼玉での開催。これに燃えないわけがない。今回のスローガンは『地元埼玉開催の関東大会で主役になろう!』。「今大会は一番になろうということで入った。今年の関東大会は埼玉開催。さいたま市内で行われる大会だし、やはり浦和の学校が出れば絶対に盛り上がる。あとひとつなので気持ちを切らさずに良い準備をして挑みたい」と市原監督。
選手たちも気持ちは同じだ。「ここで負けたら何も残らない。次も勝って関東大会を決めたい」と田中隆太郎主将。U-16県トレセンの韓国遠征で得意のドリブルにさらに磨きをかけてきたという唐牛は「歴史を変えていきたい」と意気込んだ。
次の相手は昌平高校に決まった。準々決勝の浦和南高校戦では9ー0と圧倒的な攻撃力を見せた新人戦覇者だが、得点力の部分では3試合10得点の浦和西も負けていない。
今大会では1回戦で本庄第一高校、2回戦で埼玉平成高校、そして今回埼玉栄を破ってきた私学キラー。昌平も呑み込んで歴史の扉を開くことはできるか。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和西 3-1 埼玉栄
0(前半)0
3(後半)1