令和元年度全国高校総体2回戦 高知 vs 西武台

令和元年度全国高校総体(インターハイ)。4年ぶりの全国舞台となった埼玉県代表の西武台高校は2回戦から登場したが、高知高校に0ー4で敗れ、ベスト32で姿を消すこととなった。

4年ぶりの全国は「完敗」… “らしい”粘り強さ見せられず、技術面の不足を痛感

技術、駆け引き、判断、あらゆる面で相手に上回られた。4年ぶりの全国は「完敗」だった。

前半からパスを繋がれる苦しい展開。西武台は「個々のところで止めることができなかったし、組織でも止めることができなかった」と守屋保監督が振り返ったように相手を捕まえることができない。攻撃では相手の寄せの速さに窮し、苦し紛れの意図の感じられない縦パスから反撃を喰らった。中盤で違いを作り出せるMF池田上総介にはなかなかボールが入らなかった。

するとクーリングブレーク明けの前半25分に左コーナーキックをダイレクトで合わされ失点。さらに終盤は最終ラインでボールを回収しても相手のプレッシングに嵌って連即して押し込まれ、アディショナルタイムに突入した36分に浮きパスをボレーで合わされ追加点を喫した。

西武台は39分、DF栗田海飛のアーリークロスをFW大野田駿が競って、トラップで1枚剥がしたFW谷直哉がバイシクル気味に狙っていったのが前半で唯一得点の匂いをさせたプレーだったが、もう1枚のセンターバックに寄せられてシュートは枠を捉えることができなかった。

悪い流れを打破したい西武台は後半代わって入った2年生MF高嶋亮佑が前半のチームになかった仕掛けの姿勢を見せて攻撃を牽引。後半は攻め込む時間を増やしたが、ここを決め切れずにいると34分、前がかりになったところをカウンターで狙われて3失点目。アディショナルタイムには右コーナーキックをヘッドで合わされて駄目押しのゴールを奪われ、0ー4で敗れた。

相手の見た目以上に速いプレッシャーを前に県で見せたような、“らしい”粘り強さを見せることはできず、勢いに飲まれ4失点。主将のDF佐野慧至は「攻められてからの後手の守備ばかりになってしまい西武台らしさを出すことができなかった」と反省。シュート1本に終わった谷は「全国のレベルは全然違った。プレッシャーも速いし、みんなうまい。そういうところで簡単にボールを失ってしまったり、シュートで終われないところに課題が残った」と悔やんだ。

今年はメンタル面でひとつ突き抜け、県大会で4年ぶりのタイトルを掴んだが、全国レベルでは1対1の部分やそこに伴う「技術」の足りなさを痛感させられた。守屋監督は「パスの精度、動きの精度、いろいろな面での技術であったりサッカーに必要なものが欠けているというのをもっともっと理解させないといけない。それを一番肌で感じた試合じゃないかな」とした。

この経験が良い薬になったと笑えるように、最後の冬に向けてもう一度チームを作り直す。

敗戦の中で見えたひとつの光明 2年生アタッカーの高嶋が存在感

後手に回るチームの中で後半入った2年生アタッカーは果敢な仕掛けから存在感を放った。

後半11分に投入されたMF高嶋亮佑は、前半に足りなかった1対1の局面での強さをプラス。相手の逆を取るドリブル、右サイドから中央に仕掛けていくカットインなどでゴールに迫った。

「攻撃は自信があって、その中でゲームの流れを変えられる選手ではあると自分では思っているので、その面ではうまくいったと思うんですけど、やっぱり自分が入ったら点に絡んだり、自分がゴールも決めきらないといけないと思っているので、いまの自分の課題はそこです」。

後半27分には右サイドのタッチライン際で受けるとスピードに乗ってカットインして左足シュートを放つも枠外。その後もフリーキックと、2本の得点機を生かせなかったことを悔いた。

初の全国は「自分の実力がわかりました。もう全然ダメダメで、もっともっと強くならないといけないと思いました」。チームで急成長中だというアタッカーは「2枚、3枚に囲まれてもひとりで打開できるような突破力をつけていきたい」と、今回の経験を自身の成長に繋げる。

石黒登(取材・文)

試合結果

高知(高知) 4-0 西武台
2(前半)0
2(後半)0