令和元年度学校総合体育大会中学校サッカーの部準々決勝 さいたま原山 vs 蕨第一

令和元年度学校総合体育大会中学校サッカーの部・準々決勝(26日、RHF駒場グラウンド)。新人戦覇者の原山中学校は蕨第一中学校と1-1の末、PK戦までもつれ込む熱戦となったが、PK戦を5-3で制して、準決勝に進出した。

序盤から“王者”原山が、得意のサイド攻撃からリズムを掴む。FW松本力哉、平石陸人が左サイドを攻略するが、蕨第一中も中央は崩させず、ゴールにはつながらなかった。すると10分、蕨第一中のMF山田素央が右サイドからアーリー気味に入れたクロスを逆サイドでMF佐藤聖真が受けると、左足を一閃。そのシュートがゴールに突き刺さり、蕨第一中が先制点を挙げた。

給水タイムを挟み、原山中はMF渡邊陸に替えて、10番MF市川紘希を投入。より攻撃に厚みをもたせていき、サイド攻撃から何度となくCKのチャンスを掴む。それが実ったのは26分。MF岩波凌平が蹴った右からのCKを蕨第一中が一度は弾くもファーサイドにこぼれてきたボールを原山中のMF田邉海斗が左足を振りぬきダイレクトボレーでゴールを決めて、苦しみながら貴重な同点弾となった。

原山中の山崎匠監督は安堵した表情で「ここまで勝ち上がってくるチームとの対戦なので、楽な試合にはならないと思っていたが、久しぶりに先制点を奪われて焦りが出た部分もあった。しかし選手たちがよく耐えて、1点を返してくれました」と試合後に振り返った。

後半も原山中がサイド攻撃からチャンスを作り、CKを幾度も奪うも、蕨第一中の粘り強い守りによって、決定機を作り出すことまではできず。逆に蕨第一中が早い攻撃からチャンスを作り、あわやという場面を作り出す一進一退の展開となった。結局60分を戦って1-1。勝負はPK戦で決することとなった。PK戦では原山中の守護神GK宮澤ケイン和彦が1本目を見事にストップすると、原山はその後全員がPKに成功をして、5-3でPK戦を制した。

強い日差しが突き刺す、高温という厳しい条件の中でも、「最後は勝ちたいと思った方が勝負を決める」と山崎監督が選手たちを送り出した言葉のとおり、原山中が苦しみながら熱戦をものにして準決勝に駒を進めた。強力な攻撃陣を持つ“王者”をギリギリまで追い詰めた蕨第一中の選手たちにも応援団から大きな声援が送られていた。

原山が苦しんだ試合も王者の風格で、粘り勝ちを見せる

蕨第一中の見事な守備によって、強力な攻撃陣を持つ原山中が最後まで苦しめられた。その中で、セットプレーから貴重な同点ゴールを決めた、原山中の田邉海斗は「先制点を奪われたのは、新人戦準決勝の南浦和中戦以来だったので、焦った部分もありました。でも、これまで一緒に戦ってきた仲間と信じて戦うことができたので、最終的に勝ち切ることができました。先制点については、ヘディングは得意ですが、左足でのボレーシュートをうまく合わせられてゴールを決めることができて良かったです」と笑顔をみせた。

山崎監督も「自分たちのスタイルをぶれずに戦う部分は持っておきながらも、今日の試合ではもう少し引き出しが持てれば良かったと思う部分もあります。そこは今後への課題にしたいと思います」と試合を振り返った。

王者として挑む学総は、これまでの経験、積み重ねが大きな自信となって、勝負強さにも繋がっていると感じさせる試合となった。苦しみながら勝利した経験は、さらに自信へと繋がるだろう。次戦は明日27日、秋葉の森で行われる準決勝で数々の難敵を破って勝ち上がってきた新座第二中との対戦となる。

椛沢佑一(取材・文)

試合結果

さいたま原山 1(5PK3)1 蕨第一