高校総体南部支部予選代表決定戦 南稜 vs 川口北

高校総体南部支部予選・代表決定戦(5日、惣右衛門公園サッカー場会場ほか)。Eブロックは川口北高校が4ー1で南稜高校を下し、2年ぶりとなるインターハイ県大会出場を決めた。

立ち上がりからボールを動かしながらゲームを優勢に進めたのは川口北。バックラインから丁寧に繋ぎながら試合のペースを手繰り寄せていくと、早い段階でスコアが動く。前半7分、MF川合健心のグラウンダーのクロスを10番のFW福間陸が左足でゲットして先制に成功した。

一方の南稜は縦に速い展開から、個の打開力のあるトップ下の岡本怜央が果敢なドリブル突破で相手ディフェンスに脅威を与える。前半32分には守備2枚の間を掻い潜ると、34分には再びエリア右から侵入して自ら右足で狙ったが、シュートは惜しくも枠を捉えることができない。

すると川口北は前半36分、ハーフウェイライン近くからのMF花村蒼太のフリーキックが風に乗ってそのままゴールネットを揺らして追加点。2ー0とリードを広げ、前半40分を終えた。

後半も川口北は福間を起点にボールを保持しながら攻撃。11分にはMF三上稜太の左クロスを走り込んだ福間が冷静にキーパーの上を抜いて逆サイドネットにこの日2点目を流し込んだ。

まず1点を返したい南稜は後半22分、給水明けの最初のプレーでMF飯村太稀のロングスローをFW樋口航大が逸らし、ファーサイドで岡本が滑り込んで3ー1。勢いのまま25分にはクロスにMF朝倉健太が頭で合わせたが、ここはGK門馬翔輔の好守に阻まれてゴールとはならず。

追撃の1発を叩き込めずにいると後半28分、川口北はコーナーキックのこぼれ球をMF前野航平がエリア外から右足を一閃。低く、鋭いボールをゴールネットに突き刺し、勝負を決めた。

選手たちが望んだ「繋いで勝つ」スタイル 花村主将「攻撃的なサッカーで勝負したい」

「それぞれの選手が自分の特徴、良さをちゃんと出して、その個々のプレーがチーム全体のプレーを後押ししていた。すごく良い形で進んだんじゃないかなと思います」と池田一義監督。この日は後ろから丁寧に組み立てながら試合を支配。攻撃でも連動を見せて4得点に繋げた。

チームはこの4月、市立浦和で「攻めて勝つ」を掲げて魅惑的な攻撃サッカーを展開した池田監督が赴任。その最初のミーティングで「彼らがやりたいサッカーと私がやりたいものが一致しているか。そこを確認しました」(監督)。両者の思惑は「ボールを繋いで、アクションを起こすサッカー」で合致。そこから1ヶ月、同じ方向を向いてこのスタイルを形作ってきた。

もちろんまだ始めたばかりの形。精度など改善の余地はあるが、それは今後に向けた伸び代だ。花村主将は「まだまだ自分たちは未熟で若い。(森田洋正)前監督から教わった守備のベースに、常にチャレンジ精神を持って攻撃的なサッカーで勝負していきたい」と力強く語った。

前戦は途中交代、10番福間が成長示す2G 県8強掲げ「川口、埼玉を盛り上げたい」

2回戦は調子が上がらず途中交代した福間だが、代表決定戦ではその屈辱を晴らすような2ゴール。指揮官も「この1日、2日ですごく成長した」とエースの精神面での成長を語った。

今予選からNo.10を襲名。初戦となった2回戦の栄北戦ではその重圧から思うようなプレーを見せることができなかったが、この試合では欲しかったゴールという結果に加え、ポストプレーに、前線からの守備にと最前線の役割をしっかりと実行。チームの攻撃を引き出した。

指揮官も「ストライカーとして信頼されるためには献身的にチームのために動きつつ、その中で点を取るっていう仕事をやっていけば信頼を得て、大事なところでまたボールが来るからと話をしました。それを今日、彼は体感したんじゃないかなと思います。1回それを経験すれば、これからもそういうプレーが続けられると思う」と、爆発のきっかけとなることを期待。

今季リーグ戦では開幕2戦を終えて2分。栄北戦も1ー0となかなか複数点を取っての勝利がなかった中で南稜を相手に自身の2ゴールを含む4得点を奪えたというのは大きな収穫だ。

「最後の詰めのところだったり、得点をもっと自分の中で意識して、自分がチームを勝たせるようなプレーをしたい」とこれを機にブレイクスルーを狙うストライカーは「インターハイはベスト8までいって、川口だけじゃなく埼玉を盛り上げたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

南稜 1-4 川口北
0(前半)2
1(後半)2