高校総体南部支部予選2回戦 大宮北 vs 蕨
高校総体南部支部予選2回戦(3日、川口東高校ほか)。Dブロックでは大宮北高校がPK戦の末に蕨高校を下した。同校は決定戦で川口市立高校に敗れ、県大会進出とはならなかった。
前半からペースを握ったのは蕨。セカンドボールの回収などで優位に立つと、33分にはセットプレーのカウンターからFW菊池峻雅が抜け出してキーパーと1対1を迎えるなど前半は5本のシュートを放ったが、ネットを揺らすことはできずにスコアレスでハーフタイムを迎えた。
後半も蕨が攻勢を仕掛ける展開。7分にはディフェンスラインからの縦パスから左サイドのMF西村匠未がトラップで相手守備を外して右足シュートで狙ったが、これは惜しくもゴール上に。37分にも再び縦に速い展開から西村が細かいタッチで2枚を剥がしてゴールに迫るも、大宮北はキャプテンのDF野村龍之介、GK渋谷拓人がしっかりと寄せてシュートは打たせない。
蕨は後半アディショナルタイムにコーナーキックを、後ろから走り込んだDF青木亮磨が頭で合わせるもボールはわずかに逸れて後半終了の笛。蕨が攻勢をかけながらも大宮北も粘り強く守ってゴールは割らせず。その後、延長戦でも決着はつかず、勝負の行方はPK戦にもつれ込む。
そのPK戦。先行の大宮北が決めての蕨の1本目。「キッカーがずっとこっちを見ていて怪しいなと思った」とGK渋谷が逆張りを的中させてチームに勢いを与える。その後も全員が決めた大宮北に対し、蕨は4人目も失敗し勝負あり。粘りを見せた大宮北が代表決定戦に進出した。
シュート数は「1対11」も粘り見せた大宮北がPK勝ち 相手ベンチの恩師の姿も刺激に
シュート本数は蕨の11本に対し、大宮北は前半の1本のみ。終始押し込まれる展開となったが、最後の部分ではしっかりと寄せて、決してフリーな状態でのシュートは許さなかった。
工藤陽監督は「寄せるとか、ゴールラインに落ちるとか、本当に地味で苦しいところですけど、それをしっかりとやってくれたから勝てたんだと思います」と選手たちの頑張りを称えた。
声に、プレーにチームを支えた主将の野村は、ベンチに戻るとしばらくうつむいたまま動けず。「いつも「試合に勝ったら選手のおかげ、負けたら俺らのせい」というのを監督は言っていて、試合が終わった後に「今日はそれを一番に感じたよ」と一番最初に言ってもらって、試合のことを思い出していたら疲れがドッとなっちゃいました」と、やはり消耗をうかがわせた。
また蕨のベンチには昨年までトップチームを指導した佐野勲コーチがいたことも大宮北にとっては大きなモチベーションに。「ダメ出しされることが多かった」と苦笑いしたキーパーの渋谷は「いろいろと教えてもらった先生。佐野先生がいるチームに勝てて良かった」と喜んだ。
石黒登(取材・文)