平成30年度 埼玉県高校サッカー新人大会準々決勝 本庄第一 vs 聖望学園
高校サッカー新人大会準々決勝。聖望学園高校(西部支部2位)は本庄第一高校(北部支部1位)と対戦し、後半アディショナルタイムのFW森田悠仁の決勝ゴールで1−0と競り勝った。
前半思い切りの良いプレーを見せたのは本庄第一。前線からプレッシャーをかけて聖望学園のビルドアップを封じると、アディショナルタイムには縦パスに抜け出した10番のMF鴇田一葵のクロスにMF櫻井翔太が滑り込む。触れればゴールという場面だったが、あと一歩届かず。
後半は一進一退の攻防となった。本庄第一は櫻井がエリアを深く抉ってのクロスやMF片山流星が前半同様勢いを持って攻撃を展開。一方、聖望学園も10番のMF塚田悠太郎やハーフタイムからピッチに入ったFW島村颯汰の両ウイングが起点となって徐々に相手を押し返していく。
後半25分には塚田のスルーパスに抜けたMF西澤脩瑛がネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定に。その4分後には再び塚田から、後半は攻撃参加への比重を高めたアンカーの石川祐希がエリア内に飛び出して狙うも、本庄第一もDF笠木陽生が必死に足を伸ばしてゴールを死守する。34分には右サイドバックの田中隼斗のシュートがポストの数センチ外側を逸れた。
延長戦が濃厚かと思われた中、試合が動いたのはすでにアディショナルタイムに入っていた後半41分だった。聖望学園は相手ディフェンスのクリアミスを拾った塚田がドリブルで深くまで侵入すると、グラウンダーのクロスにそのわずか2分前に投入されたばかりの森田が右足で合わせて劇的決勝弾。1−0で勝利した聖望学園が新人大会では初のベスト4進出を果たした。
「苦しかった。やっぱり楽じゃないですね」と聖望学園・山本昌輝監督。「前半はかなり本庄第一の圧力が高かったので、うまくいかない場面が多かった。でもこういうゲームを取れたというのはひとつ自信になる」と、この難局を制したことが選手の自信になることを期待した。
選手たちの中にも前半を0−0で終えれば、後半は点を取れるという共通認識があるという。主将の石川は「前の5枚はみんな足元があって、個性もあって、強い。後半は絶対に前線が点を取ってくれるという自信があった。延長にいくかなとも思ったんですけど、オフサイドになった点もあったので、絶対にいつか決まると思ってプレーしていました」と試合を振り返った。
準決勝は2度目の優勝を狙う正智深谷高校とのカードとなった。「正智とは去年の新人戦1回戦で負けて悔しい想いをしたので、しっかりとあと1週間良い準備をして勝ちたい」と石川。“正智喰い”となればいよいよ本格的に今年の本命候補にその名を挙げてもいいかもしれない。
レッズJrユース出身のダイナミックFW森田悠仁が劇的AT弾! 「もう最高でした」
延長濃厚かと思われた終了間際、聖望学園のエースストライカー森田悠仁が勝負を決めた。
1回戦の浦和東高校戦の後半に負傷。この日は大事を取ってスタメンを外れたが、なかなか得点のこない苦しい状況の中で「まだちょっと痛かったんですけど、ちょっとだけということで出させてもらいました」。後半39分に出場するとファーストプレーで大仕事をやってのける。
後半41分、塚田の鋭いクロスにニアサイドに飛び込んで右足で合わせなんと出場2分で決勝点。「1回戦もチャンスはあったんですけど、なかなか決めきれなかった。ここで短い時間でも決めることができて良かったです」。身体全体で喜びを表すような特大のガッツポーズを見せ、仲間たちからの祝福を受けた背番号9は「もう最高でした」と歓喜の瞬間を振り返った。
浦和レッズジュニアユース出身のセンターフォワードは得点シーンに代表されるようなダイナミックさが武器。「最後ゴール前に飛び込んでいくところだったり、ポストプレーだったりでチームに貢献しようと思っています。ゴール前は勢いを持って練習からこだわっています」。
「個人的にはこのまま得点を積み重ねて勢いに乗って、埼玉県でも上の方に入れるストライカーになれるように頑張りたいです」。最上級生となる今年は点取り屋としての覚醒を誓う。
石黒登(取材・文)
試合結果
本庄第一 0-1 聖望学園
0(前半)0
0(後半)1