平成28年度 埼玉県高等学校サッカー新人大会 決勝 昌平 vs 正智深谷
18日(日)、新人大会決勝戦が西武台高校にて行われ、昌平高校と正智深谷高校が対戦。試合は延長戦に突入する中、延長後半5分に伊藤雄教があげたゴールが決勝点となり、昌平が2ー1と逆転で連覇を達成した。
昌平は左サイドバックの塩野碧斗が昨年終盤のリーグ戦での足首の負傷以来、約3ヶ月ぶりの実戦復帰。正智深谷は準決勝で途中出場だった主将の梶谷政仁、1年生アタッカーのオナイウ情滋が先発出場した。
試合序盤はほぼイーブンの展開に。昌平はボランチの山下勇希を起点に、正智深谷はトップの梶谷にボールを集めるが、両チーム共に最後の部分での攻め手を欠き、シュートまで持っていくことができない。
それでも徐々に正智深谷が攻め込む回数を増やしていくと前半23分に先制点。右サイドのオナイウから海老塚宝良とつないで左サイド・萩原駿にボールがわたると、萩原が縦への突破からクロス。キーパーがこぼしたボールに梶谷が反応し、今年の選手権代表校がリードを奪う。
対する昌平は相手のコンパクトな守備に苦戦。正智深谷は2トップも含めて寄せも早く、「ボールロストが多かった」と山下。低い位置で取られてはショートカウンターを仕掛けられるなど、チームは得意のパスサッカー、ビルドアップを封じられ、厳しい戦いを強いられる。
「前半は相手がうちの良さを消すという状況と、うちもそこの部分でうまくいかない部分があった。狭い局面を狙いすぎたり、ラインを取る選手も少なく、手前手前で受ける状況だった。あとはボランチが横並びになってしまい、そこで改善できなかった」と昌平・藤島崇之監督。
0ー1で折り返した後半は得点を取りに行くべく2列目に古川勇輝を投入し、それまで左ハーフを務めていた原田をボランチにチェンジ。「山下とのコンビネーション」(藤島監督)で攻撃の活性化を図りにいく。山下が怪我を抱えていたこともあり、練習から試していたという原田のボランチシフト。これがピタリとハマり、昌平は勢いを取り戻していく。
すると後半16分に同点弾。原田の左コーナーキックから佐相壱明が点で合わせた。「ヘディングは苦手だが、軽く当ててコースを変えた」というエースの今大会5得点目で昌平がゲームを振り出しに戻す。
「後半は中盤で距離を縮めてパス交換して、リズムを作っていこうと選手同士で心がけていた。前に入った時はどんどん追い越してゴールに行けという指示もあった」(山下)。その言葉通りチームはボランチに下がった原田、後半から投入された古川などが積極的に攻撃を仕掛けていく。
その攻撃が身を結んだのが延長後半5分。起点となったのは先制点アシストの原田だ。中盤でボールを持った背番号13は、相手選手を剥がすと「結構スペースがあった。シュートもあったが、右に(伊藤)雄教がいたので出した」とスルーパスを選択。このボールを「練習中からシュートはサイドネットに振り切れ」と言われていたという伊藤が突き刺した。
このゴールが決勝点となり、昌平が逆転で2年連続3回目の栄冠に。昨年に続く無失点とはならなかったが、石井優輝主将のもと、安定した守備で最少失点に抑え、今年の目標とする5冠(新人戦、関東大会、インターハイ、選手権、リーグ戦)達成、全国制覇に向け、まずは1冠目を獲得した。
もう次への戦いは始まっている。今大会4戦5発とブレイクした佐相は「毎試合2得点以上というのを目標に掲げている。今回は達成できなかったので、そこが関東、インターハイ、選手権までの課題」と語り、怪我を抱えながらもチームを牽引した山下は「点の取れるボランチ」への脱皮を誓った。
また、チームとしては石井主将と藤島監督が揃って「攻撃のバリエーションアップ」を今後の課題に挙げた。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 2-1 正智深谷
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
1(延後)0