平成30年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会 決勝リーグ第2戦 花咲徳栄 vs 本庄第一

平成30年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会・決勝リーグ第2戦。昨年覇者の花咲徳栄高校は本庄第一高校と対戦。MF渡邉莉沙子の2ゴールなどで3−0で勝利し、2連勝で関東大会進出を決めた。24日は2年連続の3冠達成を目指し、同じく連勝中の南稜高校と激突する。

昨年の関東出場校同士の対戦となった第2戦。序盤こそ直前の雨でスリッピーなピッチに手を焼いた花咲徳栄だが、それでも徐々に攻める回数を増やしていくと先制点は前半27分。DF大沼歩加のフリーキックのこぼれ球を「ここは決め切るしかないと思った」という1年生MF山本桃子が、エアポケットのようになった一瞬の隙を見逃さずに右足を一閃し、ゴールを破った。

このまま1−0で試合を折り返すと後半9分、花咲徳栄は1年生ボランチの佐藤美莉の裏への配球に抜け出した渡邉が右足で決めて追加点。さらに渡邉は16分に左サイドからの横パスに対してファーストタッチで鋭く内に切れ込むと、今度は左足で流し込んで点差を3点に広げた。

本庄第一は突破力のあるFW林里咲、FW渡邉百優のサイドの仕掛けから得点を狙うが、後半10分過ぎのMF越高羽菜の反転シュートはディフェンスにブロックされてゴールとはならず。

中盤にかけて花咲徳栄はFW新井優紀やFW前田悠莉といった経験値のある3年生たちを次々と投入。追加点こそ生まれなかったものの、危なげなく3−0でゲームを締めて決勝リーグ2連勝として関東大会出場を決めたと同時に、昨年に続く県内タイトル3冠独占に王手をかけた。

結果的には完勝だが、「相手のパフォーマンスが落ちてこないと今回も点が取れていない。そういうところで崩すことができるのが関東、全国のチーム。もっともっと前で奪って、繋いで崩して、相手のゴールを脅かさなければいけないと感じています」と末貴光監督。2得点の渡邉も「前半からもっとチームを勢いづかせるプレーを出していかないと」と気を引き締めた。

見据えるのは関東、全国での躍進。決勝リーグ最終戦の南稜戦は結果、内容ともにこだわる。

新ポジションで安定したパフォーマンス見せた大沼 指揮官も「守備のエース」にと期待

この試合でもコンビを組む石田珠花とチャレンジ&カバーを徹底して危険な場面は作らせず。インターハイ後から挑戦中のセンターバックで安定感抜群のプレーを見せているのが大沼だ。

6月のインターハイ関東大会では1回戦で星槎国際湘南に0−6と大敗。守備も裏への対応など課題が出た中で安定を図るべく取られたのが、高さもあって競り合いにも強い大沼のセンターバック起用だ。本職はボランチ、2年次はトップ下も務めた経験もあり得点力もある。末監督も「一個前に上げれば面白い選手」としつつ、「厳しい展開になった時にディフェンスのエース、フォワードのエースというところで決まってくる」と後ろの要として期待を寄せる。

今夏はチームとしてディフェンス面を重点的に強化。フェスティバルや練習試合などでは十文字や村田女子といった全国であたるであろう強豪を相手に一定の成果を残し、自信を深めた。

「関東大会を迎えるにあたって1位と2位では全然違う。関東を決めたことに気を抜かないで前は前線に託して、自分はしっかりと無失点で抑えたいと思います」と大沼。最終戦は勝利はもちろん、この先を見据えれば失点0というのも得点以上に重要なテーマになってきそうだ。

「この試合で何か結果を残せたらと思っていた」 渡邉が決勝リーグ2戦連続の2得点

「ここまでの試合で結果を残せていなかった。この試合で何かを残せたらと思っていて、得点という形で貢献できたのは良かったです」と渡邉。後半早々の2得点で勝利を決定づけた。

後半9分に前半から狙いとして持ってきた裏へのボールに抜け出してチーム2点目を挙げると追加点は7分後。左サイドに流れたFW加藤心和からの横パスに「サイドからボールが来たら自分でゴールに行こうと思っていた」と渡邉。ファーストタッチでうまく中に切れ込むと最後は左足で流し込んで決勝リーグ1戦目の浦和西戦(5−1)に続くドッピエッタを達成した。

課題としていた「ゴールへの意識」が結実した一方で、「それ(フィニッシュの部分)が増えたところで自分の持ち味であるドリブルは減ってしまった。点を取るというのに加えて、自分の良さであるサイドのドリブルも合わせて出していけたらと思います」。決勝リーグ最終戦の南稜戦ではゴールに、チャンスメイクに持ち味を発揮してチームを2年連続の3冠に導く。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 3-0 本庄第一

1(前半)0
2(後半)0