平成30年度全国高校総体 サッカーの部 3回戦 札幌大谷 vs 昌平

平成30年度全国高校総体 サッカーの部 3回戦。札幌大谷高校(北海道)と対戦した埼玉第1代表の昌平高校は、2点差からの連日の逆転劇で3ー2で勝利し、ベスト8入りを決めた。


2戦連続の0ー2からの逆転劇だが、青森山田に対し自分たちのスタイルで勝ち切った2回戦と違い、札幌大谷戦は対策を練られる中でそこを上回る力強さを持ってこの戦いを制した。

青森山田戦の疲れもあったのかもしれない。やや重い入りを見せると前半10分にクロスを押し込まれて先制を許した。その後はボールを持つ時間も増えたが、中を固めてきた相手に対し、ラストパスやドリブルコースを封じられ、なかなかシュートに持っていくことができない。

さらに前半30分にはMF森田翔が負傷交代。アディショナルタイムにMF原田虹輝を起点に左サイドバックの堀江貴大のクロスが少し流れたところをMF木下海斗が身体を捻りながらシュートまで持っていったがシュートは枠上。前半はこの1本を含む2本のシュートに終わった。

後半6分には再びクロスから相手の10番に決められ、この日も2点のビハインドを背負った。

それでもここから昌平が勝負強さを見せる。逆襲のキーとなったのはセットプレーだった。

後半10分に右コーナーキックを獲得すると、原田の低くて速いクロスにDF吉田航がニアに入りながらヘディングで合わせてまず1点。さらに4分後には今度は左コーナーキックから吉田が潰れて、主将のDF関根浩平がこちらも頭で突き刺して、ついに試合を振り出しに戻す。

これで勢いに乗ると、クーリングブレークを挟んで昌平ペースに。そして後半30分、木下の展開から吉田のグラウンダーのクロスに青森山田戦で同点弾を決めたMF渋屋航平が右足ダイレクトシュートを叩き込んで勝負を決めた。連日の劇的勝利で昌平が準々決勝進出を果たした。

ステージアップする中で成長見せる勝利 藤島監督「選手の意識レベルも上がっている」

前半は相手の対策に対し苦しむ中で、後半セットプレーから2ゴール。藤島崇之監督は「割れない状況で相手を慌てさせるためには、セット2発というのは良い形だった」と振り返った。

全国的にはまだ無名だった2年前とは違い、インターハイ4強、埼玉5冠なども経験し、全国でもマークされる存在に。昨年大会は日大藤沢高校(神奈川)にウィークポイントを突かれ、ストロングポイントを消されるという状況を作られ、初戦敗退という悔しい想いを味わった。

「今回同じ状況になったのは自分たちの立ち位置も変わったという話はしている。そういった部分で言葉として伝えていた全国優勝という目標が現実的に近づく実感がある中で、選手の中でも意識的なレベルが上がっている。そこはプラスに変わるかなと思う」と指揮官はいう。

対策を受けるというのはひとつステージアップした証。そこを覆しての勝利は昨年からの成長はもちろん、目標とする全国優勝に向け大きな、大きな意味を持った1勝になったはずだ。

前半苦しむもセットプレーから2発 同点ヘッド決めた関根「狙いにいきました」

相手守備をこじ開けたセットプレー。同点弾を決めた関根は「練習の成果」と胸を張った。

原田の右コーナーキックから吉田が決めた、そのわずか4分後の後半14分。今度は左コーナーを迎えると「1点取った後で勢いはきていた。ここで同点に追いついてやろうという気持ちで入りました」と関根。「原田はいつも良いボールを蹴ってくれる。蹴る前に相手を外して自分のタイミングの良い形で入っていけました」。高精度のクロスを力強くゴールに叩きつけた。

セットプレーの前には応援席からキャプテンのゴールを待ち望むコールが。「ちょっとここで取ったらかっこいいかなと思って(笑)。応援してくれていたのでもう狙いにいきました」と笑ったが、チームが苦しい時に取ってくれるというのはさすがキャプテンといったところ。

2年前は唯一の1年生として4強進出に貢献。そこから時が経ちチームを牽引する立場になった関根は「自分たちの代で2年前の4強を超えて日本一を目指していきたい」と力を込めた。

試合結果

札幌大谷 2-3 昌平

1(前半)0
1(後半)3