平成30年度全国高校総体 サッカーの部 2回戦 東福岡 vs 浦和南

平成30年度全国高校総体・サッカーの部 2回戦。東福岡高校(福岡)との一戦に挑んだ埼玉第2代表の浦和南高校は0ー3で敗れ、9年ぶりの全国大会は志半ばのベスト32に終わった。

立ち上がりは決して悪くはなかった。ボールを持たれる展開ではあったものの、相手の狙っていたサイドアタックにはGK桒原丞とディフェンス4枚がうまく連携しながらクロスを跳ね返して決定機は作らせず。前線からも運動量を高くしっかりと相手の中盤や最終ラインにプレッシャーをかけて、ボールを奪えば10番のMF大坂悠力を起点に攻撃に出る時間帯も作っていた。

しかし前半11分、相手の速攻からゴール前でファールを与えてしまうと、直接フリーキックを途中でコースを変えられて先制点を許す。前半はそのまま0ー1で折り返すこととなった。

後半浦和南は草野皓、狩集洸哉の両サイドバックが高い位置を取ることでサイドに厚みを持たせていくが、相手の速い寄せに対し、なかなかフィニッシュまで持っていくことができない。

一方、後ろは桒原や庄司千暁、相馬海音の両センターバックを中心に攻撃陣の反撃を信じて終盤まで1点差のまま耐えたが、後半アディショナルタイムについに決壊。35分にポストに当たったこぼれ球を詰められてリードを2点差に広げられると、その1分後に右クロスからヘディングで決められて力尽きた。浦和南のインターハイは2回戦で幕を閉じることとなった。

「まぁまぁ良い入りをした中であのフリーキックからの失点がやっぱり重くのしかかった」と野崎正治監督。公式記録上のシュート数は東福岡の「15」に対し、浦和南は「0」。「やっぱり1点が遠かった。肝心なところで身体を張られて、決定機はなかったですね」と悔やんだ。

全国での1勝と、そして1敗を経験した今夏。「経験だけで終わらずにやっぱり次のステップにしたい。私もそれを口すっぱく言って、選手権までにはもう一回りもふた回りも良いチームを作っていきたい」と野崎監督は言葉に力を込める。主将のMF鹿又耕作も「この夏休みからどんどん自分たちの課題を解決して、選手権までにもっともっと強くなって全国に行きたい」とさらなるレベルアップを誓った。全国での経験を糧に、ここから浦和南が再始動を切る。

「少ない決定機を決められる選手に」と大坂 収穫と課題を持ち帰り冬の全国目指す

初の全国は0ゴール。10番を背負う大坂は「点を取れなかったことは悔しい」とこぼした。

「全国相手でもドリブルは通用したし、自分は小さいけどフィジカルにもそんなに差はないと感じた」。この日もチームの攻撃時にはその中心としてドリブルにキープに奮闘したが、相手の厳しいプレスに対しなかなかシュートチャンスを迎えることはできず。「チャンスは少ないんですけど、それで決めるのが自分の仕事。点を取れなかったことは悔しいですね」。終盤まで後ろが1失点に抑えていただけに、チームを救う1ゴールを奪えなかったことを悔やんだ。

「攻守の切り替えや意識だけで変えられるところをもっと突き詰めていきたい。相手があっと思うような切り替えの速さだったり、そういうのを選手権に向けてみんなでやっていきたい」と大坂。能力値で上回る強豪私学に勝つためにも、まずは意識の部分からの改革を目指す。

「選手権は1校しか出られないし、そうしたらもう昌平を倒さないといけない。もう一度全国でみんなとやるために、埼玉県のチームをまた全部倒せるようにやっていきたいですね」。再び全国の舞台に舞い戻るべく、2001年以来となる選手権予選制覇に静かな闘志を燃やした。

石黒登(取材・文)

試合結果

東福岡 3-0 浦和南
1(前半)0
2(後半)0